県内公募の「大使」女性印象強く 男性応募はごくわずか 門戸は双方に開放

40年以上の歴史があるマロニエメイツ。男性が就任したことはない=4月上旬、県議会議長室

 公募の市民が県産品や観光資源などの魅力発信役となる栃木県内の各種団体のPR事業では、女性が「大使」として活動する姿が目立つ。ただ、募集要項をみると、実は性別の制限がないケースが多い。運営側は「ミス○○」といった名称を変えるなどしているものの、女性が就くイメージが強いとみられ、男性の応募がほぼないのが現状だ。こうした中、ジェンダー(社会的性差)に関する社会の意識の変化を踏まえ、男性にも積極的に応募を呼びかける動きも出ている。

 4月上旬、県議会議長室で行われた「2024マロニエメイツ」の任命式。真新しい衣装を着た3人の女性が、本県の緑化推進やイメージアップを誓った。

 マロニエメイツは1978年に女性限定の「緑の使者」として始まった。「とちぎミスグリーン」「ミスマロニエ」と名称を変え、2000年に男性も対象とし、現在の名称になった。

 主催するとちぎ環境・みどり推進機構は「活動内容は同じだが、名称に『ミス』が付くことがふさわしくないと判断され、募集も男女になった」と説明。ただ、男性の応募はほぼなく、24年度も応募した17人全員が女性だった。担当者は「若い男性でやる気があれば選考対象になる」と話す。

 県産農産物の魅力を発信する「とちぎフレッシュメイト」は「とちぎフレッシュレディー」が前身で、02年に対象を男女に拡大。婚姻状況や身長などの要件も見直した。男性の応募は一度もなく、24年度も応募者23人全員が女性だった。

 とちぎ農産物マーケティング協会の担当者は「スカート姿の女性の写真をチラシに使うことや、『メイト』という名称に女性のイメージがあるのかもしれない」とする。男性も応募できることを改めてPRする案が出るなど、採用ムードの高まりがあるという。

 初めて男性から申し込みがあった団体もある。「うつのみや親善大使」を運営する宇都宮商工会議所青年部。3年ぶりの募集となった今年、男性にも積極的に呼びかけると応募者7人のうち2人が男性だった。採用には至らなかったが、担当者は「男女を問わず目的意識を持つ人が応募してくれればうれしい」と話した。

 宇都宮大男女共同参画推進室の川面充子(かわづらみつこ)特任助教は、歴史がある取り組みは名称などが変わっても元来のイメージが強く、一方の性が占めてきた場に異性が入りにくいと指摘する。「PR役は女性の方が華やかという価値観が残っている部分もある。女性が求められているという思い込みを変えていかねばならない」と話した。

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