【ソフトバンク】王球団会長が予見 パ独走の先に…若手躍動で「ベテランも乗せられる」

特大のプロ初アーチを放ったソフトバンク・笹川吉康

パ・リーグ首位のソフトバンクは15日の阪神戦(みずほペイペイ)に6―2の快勝で、貯金を今季最多の23とした。パ2位の日本ハムとのゲーム差は今季最大の9に拡大。交流戦12球団最多9度目の制覇は、16日の最終戦の結果次第となった。

未来の大砲候補が再び躍動した。前夜、プロ初安打を放った笹川吉康外野手(22)が、5回に貴重な追加点を叩き出す待望の1号ソロ。完璧な手応えで放った飛距離128メートルの豪快弾に「真っすぐをしっかりと弾き返せた」と笑顔があふれた。

チームは5カード連続の勝ち越しを決め、4年ぶりのペナント奪回へ勢いを増すばかりだ。加えて、昨季まで一軍を経験したことがなかった若鷹たちが躍動。勝ちながら成長の場を得ていることが、チームの総合力を大きく押し上げている。

王貞治球団会長(84)はこの日「ウチは今、若い人たちが出てきたから、笹川もそんなに緊張せずにやれている感じがするよね」と、チーム内で醸成されている新しい空気感が好循環を生んでいると分析。育成出身の仲田、緒方は限られた出番の中でも戦力として機能。さらに新人・広瀬も牧原大、三森が相次いで負傷離脱した手薄な二塁手のポジションで懸命にアピールを続けている。

王会長は新風を吹き込む若い力に目を細めつつ、こうも付け加えた。「やっぱり若い人が出てくると、ベテランも乗せられるからね」。実力と存在価値を示せなければ淘汰される弱肉強食の世界。理想的なチーム内競争が生まれている。

事がうまく回っている中で、仮にこの先に苦しい状況に直面したとしても、場数を踏んだ主力やベテランたちが控えている。戦列に戻ってくる選手もいれば、状態を上げようともがいている選手もいる。主砲・柳田を欠く中でも〝憎いほど強い鷹〟は勢いを増しそうなムードだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社