【ヤクルト】復活星・奥川泰伸が号泣「野球の神様に助けられた」敵地・京セラドーム全体が感動

ヒーローインタビューで、思わず感極まるヤクルト・奥川恭伸(右)

3シーズンぶりの復活星をマークしたヤクルト・奥川泰伸投手(23)が号泣した。14日のオリックス戦(京セラ)を5回1失点に抑え、2021年10月8日以来の白星を刻んだ。ヒーローインタビューに臨むと「期待してもらっている中ですごい長い時間、ファンのみなさんを待たせてしまった。勝つことができてうれしい。久しぶりだったので緊張しました」と胸をなで下ろし、その後に言葉を詰まらせた。

リハビリ期間を思い出し、目から大粒の涙が流れ落ちる。「この2年という期間の中で…。今日も本当にファンのみなさんに温かい声援をいただいて…本当にうれしかった」と声を震わせ、ドーム全体が大きな感動に包まれた。

右ヒジを負傷した2022年3月29日の巨人戦以来の一軍マウンド。緊張感の中、走者を許しながらも要所をスライダーで切り抜けて決定打を許さなかった。味方が復活を攻守で後押ししてくれ、4点リードで勝利投手の権利を持って交代。終盤にリリーフ陣が1点差に迫られたが、9回にオスナの値千金の一発で5―3と勝利。ベンチで笑顔が弾けた。

右ヒジを故障してリハビリ生活を強いられ、再起をかけた今季もキャンプ終盤に腰を負傷。絶望のふちに追いやられたが、二軍戦で復帰し、6試合を投げて今月10日に一軍に合流。ようやくめぐってきたチャンスをモノにし「1つ勝てたことにホッとしました。今までにないくらい緊張した。後ろに同期も先輩もいて、この人たちなら大丈夫だと思っていた。力をもらえた。この2年間、支えてくれた人に少しは恩返しできたと思う。投げてる最中ははしんどくてつらかったけど、それでもそこに立っていることが幸せだった。つらかったけど楽しかった」とかみしめた。

1月に震災に見舞われた故郷・石川への思いもあった。勇気づけるはずがキャンプ中の負傷離脱で期待を裏切る結果となっていただけに「この1勝はすごく大きい。野球の神様に助けられた場面がたくさんあった。いろんな選択がありましたが、自分がやってきた道が間違いじゃなかったことを証明したいと思っていた。そういう意味では報われたと思います」。

苦難の乗り越えた右腕が、プロ5年目で大きな成長を遂げた。

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