ニホンライチョウ人工授精卵4個成長 富山市ファミリーパーク、6月26~28日ごろふ化

卵に光を当て、内部の状況を調べる職員(富山市ファミリーパーク提供)

 富山市ファミリーパーク(同市古沢)は16日、飼育している国の特別天然記念物「ニホンライチョウ」の雌4羽が全国で初めて野生の雄との人工授精で産卵した卵12個のうち、4個が順調に成長していると発表した。人工授精の成功とされるふ化に向けて前進した。このまま成長すれば今月26~28日ごろにふ化するという。

 6日から16日までに新たに9個の産卵があり、人工授精した雌5羽全てが産卵したことも明らかにした。

 成長を確認した4個の卵は、同パークで生まれ育った雌2羽が5月29日~6月5日に産んだもの。この雌には、北アルプス・乗鞍岳に生息する野生の雄2羽などから採取した精液を注入していた。

 検卵機と呼ばれる機械で卵に光を当て、内部の状況を調べたところ、受精卵が細胞分裂を繰り返して成長していることが分かった。細胞分裂が見られなかった8個の卵についても、今後、受精したかどうかを確認する。

 同パークは引き続き、卵を人工的に温める機器を使い、温度管理などを徹底しながら卵を育てるとしている。担当者は「4個が全てふ化すれば、人工授精としてはかなり高い成功率となる。慎重に卵の成長を見守っていきたい」と話した。

 同パークは環境省と日本動物園水族館協会が定める計画に基づき、2015年から絶滅危惧種であるニホンライチョウの繁殖技術の確立に取り組んでいる。これまでは自然交配による繁殖を行ってきたが、24年度から新たに人工授精を始めた。

成長を確認できた卵(富山市ファミリーパーク提供)  

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