早期に治療すれば完治、放置すると全身に発疹が広がり重症化も…梅毒感染者が若者を中心に急増中 医師が予防策訴え

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 鹿児島県内で若者を中心に梅毒の感染者が急増し、名瀬保健所管内でも確認されていることを受け、県立大島病院(奄美市)の医師が、奄美大島の高校4校で性感染症に関する講演会を開いている。「感染の危険性は身近に迫っている。適切な予防策を知って」と訴えた。

 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因で、性交渉などで感染。初期には性器や口内にしこりができる。全身に発疹が広がるほか、放置すると重症化することがある。早期に治療すれば完治する。

 県感染症対策課によると、県内の梅毒感染者数は2021年56人、22年141人、23年167人と急増。24年は6月13日時点で66人、うち名瀬保健所管内は2人だった。

 13日は、小徳羅漢医師(32)が古仁屋高校(瀬戸内町)の生徒約80人に講演した。島内で10代患者も出ている現状や、症状が現れてもいったん治まる梅毒の特徴を説明。感染リスクを下げるため避妊具を正しく着用することや早期の受診を呼びかけ、「大切な人を守るためにも、自分事として考えてほしい」と力を込めた。

 2年生女子は「正しい対処法を身に付け、不安なことは周りの大人に相談したい」と話した。

 同日はこのほか、上村英里医師(40)が子宮頸(けい)がんを予防するワクチン接種の有効性や、多様な性の在り方について紹介した。

梅毒の特徴を説明する小徳羅漢医師=13日、瀬戸内町古仁屋の古仁屋高校

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