災害対応を「自分ごと化」に 下平窪に看板設置 アナログとデジタル融合 QRで河川水位表示 福島県いわき市

下平窪公民館にアナデジサイネージ看板を設置する松島部長(左)と江尻区長

 福島県いわき市、市内の平第31区(下平窪)と福島高専は市内平下平窪地区の地区防災計画に基づき、アナログとデジタルの情報を融合した「アナデジサイネージ看板」を製作した。スマホなどで看板のQRコードを読み込むと河川の水位情報や気象情報などを得ることができる。今月中に地区内26カ所に設置する予定。16日に下平窪公民館で設置式が行われた。

 平下平窪地区は2019(令和元)年の台風19号で甚大な浸水被害を受けた。市は2022年度に地区防災マップ、2023年度に地区防災計画をそれぞれ策定した。地元の平第31区(下平窪)と福島高専の意見を踏まえ、計画にアナデジサイネージ看板の設置を盛り込んだ。

 看板は福島高専の学生がアイデアやデザイン案を出した。デジタル情報として、河川水位や気象情報などをリアルタイムで得られる他、地区防災マップや台風19号による地区の水害状況が分かる写真を見ることができるようにした。台風19号による浸水の深さや洪水の流れの方向をアナログで表示した。

 設置式では江尻光芳区長が「多くの地域住民に看板を活用してほしい」、松島良一市危機管理部長が「自然災害を自分ごとととらえて対応してください」、福島高専の菊地卓郎都市システム工学科長・教授が「地域コミュニティーの中で看板を話題にしてほしい」とあいさつした。江尻区長、松島部長らが下平窪公民館に看板を設置した。

 看板を設置する26カ所(設置済みを含む)は、平四小やマルト平窪店、公園、防犯灯、個人宅など。住民に身近な場所に設置することで過去の災害を常に意識し、災害対応を「自分ごと化」する効果を狙う。市によると、このタイプの看板設置は市内では初めて。

(いわき版)

© 株式会社福島民報社