「将棋は人生そのもの」女流棋士・島井咲緒里さん プロデビューから28年の今の思い

高知県南国市出身の女流棋士、島井咲緒里(しまい・さおり)さん。プロデビューから28年、現在は後輩の育成にも力を入れています。「高知のおじさんたちが将棋を教えてくれたおかげでプロになれた」という島井さん。今の思いを聞きました。

(島井咲緒里さん)
「いい手を差して勝つとか、気持ち良かったりとかそういう楽しさ、将棋も考える楽しさととか、やっぱり勝つ楽しさがあって、負けるとつらいんですけどその辺がうまく自分の中で、楽しみつつ、小さい時から結構おじさんとか年配の人にも勝てるゲームだったりするので、そういう将棋の魅力がうまく自分にフィットしたのかなっていうのはありますね」

高知県南国市出身の女流棋士、島井咲緒里(しまい・さおり)さん。小学生の時から数々の大会で優勝し、注目を集めてきました。

(はらたいらさん)
「高知県の小中学校の将棋大会で優勝したわけ?すごいね。いま何年生?」
(島井さん)
「4年生」
(はらたいらさん)
「4年生で!中学3年生もおるわけで」「将来的にはプロになりたい?」
(島井さん)
「まだ考えていません」
(はらたいらさん)
「けんど、この若さやきプロを目指してもらいたいですね」

将棋を指す相手は”おじさん”ばかり。人生の大先輩を相手に腕を磨きます。

中学生の時、『1年間頑張ってプロになれなかったら将棋をやめる』、両親や師匠にそう宣言し、県内外への遠征のほか、週末は東京で開催されるプロを目指すリーグに参加。1日たりとも将棋から離れるわけにはいかないと、修学旅行も欠席して将棋に打ち込みました。

(島井咲緒里さん)
「その時は1年でプロになる覚悟でいたので、お金を出してもらってるのもありますし、学校休んでとかもあったと思うので…何ででしょうね。少しずつ、そのときやっぱり自分が元々がそこまで強くなくて伸びしろがあった分、やっぱやって頑張ってると勝てることも増えたり、成長を自分でも感じられたんじゃないかなと。成績に表れたりして、それで継続できたんじゃないかなっていう気はしますね」

そして1996年、土佐高校1年の時にプロデビューを果たします。

(島井咲緒里さん)
「いつかはタイトルを狙えるようになってタイトルを獲りたいです」

プロになって2024年で28年。女流棋士としてLPSA・日本女子プロ将棋協会の1dayトーナメントで13回優勝するなど活躍を続ける一方、ライブハウスなどを会場に音楽と将棋を同時に楽しむイベント、”DJ将棋”を開催したり、子どもたちが気軽に将棋を楽しめるグッズの開発なども手掛けてきました。

島井さんにとって「人生そのもの」だという将棋を、より多くの人に楽しんでもらいたいからです。

(島井咲緒里さん)
「6歳で始めてプロになったときは15歳で、今の自分があるのは、その子供の頃から「さおりちゃん」っておじちゃんたちが将棋を教えてくれたおかげでプロにもなれたし、今があると思ってるので、感謝の気持ちを忘れず、みんなのおかげで今があるっていうことを、常に将棋とともに心にあるので、それも私にとって大きな財産というか存在になってますね」

高知に帰省していた6月4日、島井さんはある場所を訪れました。

高知市に2023年にオープンした将棋カフェです。

運営する川谷淳(かわたに・じゅん)さん。土佐高校・棋道部(きどうぶ)出身、島井さんの9年後輩で、現在はアマチュア四段の腕前です。

(将棋Cafe&BarNaN 川谷淳さん)
「将棋をどんな形でもいいので、楽しんでいただきたいなと思っています。指すだけじゃなくて見たり本を読んだり、漫画もあるので将棋に触れていただくだけでも楽しめるかと思います」

平日は午後2時から、土日は午前10時から午後10時まで営業していて、小さい子どもからお年寄りまで、幅広い世代の人たちが将棋を楽しんでいます。

島井さんが来ると聞いて、一人の高校生がやってきました。土佐塾高校2年の中島奈津(なかじま・なつ)さんです。

小学生の頃から本格的に将棋を始め、去年の四国大会では準優勝。女流棋士を目指して腕を磨いています。

対局は島井さんが重要な駒を1つ外す「飛車落ち」で行われ、中島さんが勝ちました。

(土佐塾高校2年 中島奈津さん)
「まず、楽しかったのと、勉強になりました。アドバイスも的確でありがとうございました」

「知らないことばかりで、本を読んでいても全部分かるわけじゃない。形をなんとなく覚えるだけで理解するには強い方に教えてもらわないとだめなので、こうやって女流棋士の先生に教えていただけると力になります」

(島井咲緒里さん)
「応援してますので頑張ってください」

島井さんが所属する日本女子プロ将棋協会は、女流棋士を育てようと小中学生の女子を対象とした名人戦を開催しています。

全国8つのブロックで予選が行われ、勝ち抜いた人は東京で行われる全国大会へ。そこで小中学生の女子将棋ナンバーワンが決まります。2023年、高知で行われた予選には4つの部門に小中学生13人が参加し、真剣勝負を繰り広げました。

(島井咲緒里さん)
「私が子供の頃は東京まで行かないと、地区予選という形のものは女子はなかったので、地区予選があって代表として地元の期待を背負って全国大会っていう形、いまはそういう小学生中学生の女の子の励みになる大会を目指してるんですけども」

2024年の高知での予選「四国ヒワサキ大会」は6月30日、土佐中学・高校の筆山ホールで行われます。

(島井咲緒里さん)
「将棋がまだわからない、全く知らなくても大丈夫なので、無料の入門教室もやります。ぜひちょっとやってみたいなぐらいの、近いから行ってみようかなぐらいで全然いいので。かわいいピンクでハート型の将棋だとか、動物将棋とかいろいろ用意しているので、本将棋のルールも教えますし、いろんな将棋で遊んでみようっていう感じで、女の子でワイワイ楽しくやれたらなと思っているので、ぜひお気軽に遊びに来てください」

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