能登地震被害の本殿修復 富山県氷見市の池田町町内会、神明社で遷座祭

神明社本殿を修復するため、ご神体を仮殿に移す池田町町内会役員ら=氷見市北大町

 富山県氷見市北大町の池田町町内会は17日、能登半島地震で被害を受けた神明社の本殿修復のため、ご神体を仮殿に移す遷座祭(せんざさい)を行った。基礎部分などの工事が終わる8月中にご神体を戻し、修復した本殿で9月の秋祭りを迎える。液状化被害を受けて町内を離れた住民もおり、町内会長の高澤正三さん(70)は「心のより所の神明社を修復することで復興に向けて住民が前向きになれるようにしていきたい」と力を込めた。

 池田町の神明社は液状化被害はなかったものの、大きな揺れで基礎や床板、壁、鳥居などが被害を受けた。町内会では高齢化が進む中、住民に負担はかけられないと、神明社のために積み立てていたお金を使い、3月に拝殿を修復した。7月に本殿の工事が始まることから簡略化した遷座祭を行い、ご神体は境内のみこし蔵に移すことにした。

 本殿での神事に続き、吉川正峰宮司がご神体を御船代(みふねしろ)に納め、町内会役員や宮委員らが「絹垣」と呼ばれる白布で覆いながら約20メートル離れたみこし蔵の中に安置した。祝詞の奏上に続き、宮総代の茶山秀雄さん(73)や高澤さんらが玉ぐしをささげた。

 町内には、住民の約半数が地元を離れた班もあるという。茶山さんは「住民には神明社を大事に守っていきたいという思いがある。修復して次世代に引き継いでいきたい」と話した。

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