消えゆく人気動物 ゾウの高齢化に直面する動物園 繁殖の難しさや海外からの導入も壁=静岡市

動物園の人気者「ゾウ」。しかし、静岡県内の動物園では、徐々にゾウの数が減っていて「ゾウの高齢化」が課題となっています。新たなゾウの導入を目指していた静岡市ですが、方針転換を迫られるなど厳しい状況が続きます。

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2024年で58歳を迎えるメスのアジアゾウ「ダンボ」です。6月15日、静岡市の日本平動物園で開かれた「ダンボ」の誕生会では、果物が振舞われたりエサやり体験などが行われたりしました。

<来園者>
Q.近くでゾウさんを見てどうだった?
「かわいかった」
Q.どんなところが、かわいかった?
「目とか鼻とか」
「小さい時から見ていたのに、自分の子どもと一緒にダンボの誕生日をお祝いできるのがうれしい。一緒に成長してきたんだな、ダンボと一緒にと思う」

開園当時から人気のダンボ、国内では2番目の長寿となります。

<静岡市政担当 坂口将也記者>
「動物園の目玉ともいえるゾウですが、実は近い将来、動物園で見られなくなってしまうかもしれないんです」

全国各地の動物園が直面しているのは、人気動物の高齢化です。

日本動物園水族館協会によりますと、国内の動物園でゾウを飼育している園の数は、アジアゾウが42から30に、アフリカゾウが18から12に減少しています。飼育数も減少傾向になっているといいます。

浜松市動物園では2022年、アジアゾウの「ハマコ」が死んで、静岡県内でもゾウを見られる施設が減りつつあります。

<静岡市 田辺信宏前市長>
「ゾウのファミリーを招く。導入を目指していきたいと思っている」

静岡市の田辺前市長は、新たなゾウの受け入れを重要政策に掲げてきましたが、研究以外の取引を禁止するワシントン条約や生態系維持の観点が壁となり、海外からの導入は難航。静岡市は2024年3月、国内で繁殖したゾウを導入する方針に切り替えました。

<静岡市立日本平動物園 アジアゾウ担当 横山卓志さん>
Q.ゾウの繁殖は難しい?
「どうしても適切な年齢のメスがいたりとか、メスを中心とした群れをつくったりするので、その中での群れ構成、あるいは相性なんかもあるので、必ずしもオスとメスが1頭ずついれば、すぐ赤ちゃんができるという訳ではない」

国内の動物園には、群れで飼育できるほどのゾウ舎が少ないことも理由の一つということです。新たなゾウを迎えられる日はやってくるのでしょうか。

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