早世の同僚と市貝町を思い… 児童に反射材を贈り10年 宇都宮のNPO

町社協の高久会長(左)に反射材を手渡す大塚さん

 バリアフリーコンサルティング事業を手がける宇都宮市の「NPO法人アクセシブル・ラボ」がこのほど、栃木県の市貝町社会福祉協議会を通じ町内の小学5、6年生に交通事故防止の反射材を寄贈した。10年目を迎えた活動で、きっかけはがんで早世した同法人理事の大蔵拓也(おおくらたくや)さん(享年29)による町での福祉教育。その思いを受け継いで迎えた節目の年に、代表理事の大塚訓平(おおつかくんぺい)さん(43)は「彼の『交通事故ゼロ』の思いがここまでつながった」と話している。

 同法人は2013年設立。自身も交通事故で車いすを使うようになった大塚さんが代表理事を務め、講演などバリアフリー推進へ幅広い活動を行っている。

 13年当時、町では小中学生への福祉教育が他市町に比べると遅れていた。そのため町社協の北井孝文(きたいたかふみ)事務局次長(41)が同年6月、車いすで日本縦断に挑戦していた大蔵さんを招いて福祉教育を行った。

 半年後、大蔵さんは他界した。しかし大蔵さんの思いと縁は残り、後を継いだ大塚さんが福祉教育を継続。その一環で15年からは反射材の贈呈も始まった。「『10年前に話を聞いた』という子に話しかけられたこともある」と大塚さん。その教育はしっかり根付いている。

 今回贈られた反射材はスウェーデン製の「グリミス」と呼ばれるもの。反射率に優れデザイン性もあることから、同国の子どもたちは上着のチャックに付けるなどアクセサリーとしても認識されている。

 町内の5、6年生全員に行き届く156個を贈られた町社協の高久哲(たかくさとし)会長(73)は「この反射材は子どもたちの安全安心につながるもの。非常にありがたい」と感謝していた。

贈呈された高性能反射材

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