「作品通じて夫を思い出して」 鹿沼市出身坂本さんの遺作展 妻祐子さんが初めて企画

坂本さんの遺作などが並ぶ会場

 【鹿沼】2018年に87歳で亡くなった市出身の洋画家坂本和(さかもとかず)さんの遺作展が13日、下田町1丁目の野の花ギャラリーで始まった。県美術家協会理事長などを務めた坂本さんが生前、絵画教室を開いた場所に遺作16点を展示。「作品を通じて夫を思い出してもらいたい」と妻祐子(ゆうこ)さん(69)が初めて企画した。16日まで。

 坂本さんは毎年1人で欧州へ赴き、都市の景観などを淡いタッチで描くのを好んだ。県新作家集団の創立会員。新制作展に出品するなど県内外で活躍し、18年8月に他界した。

 制作活動と並行し、下田町1丁目の自宅で50年近く、画材店「サカモト」を営んだ。同所の絵画教室には市内外の生徒が通い、水彩画家の祐子さんも教えた。祐子さんは「夫の教え方は小難しくなりがちで私の通訳が必要だった」と懐かしむ。没後は教室だった場所をギャラリーとして祐子さんの作品を展示、販売している。

 坂本さんの七回忌を前に、遺作展の初開催に至った。宇都宮市内で毎年、個展を開き、売れ残った希少な作品から3~30号の油彩画と、水彩のスケッチを展示した。スペインやポルトガル、マルタ島などの町並みを描いた作品が並ぶ。

 祐子さんは「夫は建物の構成力が秀逸で、感じ取った世界観を絵に落とし込むのが上手だった。いろんな方に楽しんでほしい」と話す。会場では、祐子さんの水彩画の企画展「初夏の草花展」も同時開催。午前10時~午後5時(最終日は4時)。(問)祐子さん090.7412.6270。

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