転部2カ月でインターハイへ 男子3000障害の松本(長崎日大) サッカー有力校で決意…新目標も

【陸上男子3000メートル障害決勝】水濠を越える松本(長崎日大、中央)=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 長崎日大のサッカー部と言えば、県内主要大会で常に優勝候補の一角に挙がり、九州内でも名の通った有力校だ。そんな部員100人を抱える大所帯の1軍で活躍していた3年生が、4月に陸上部へ転部。2カ月余りでインターハイの切符をつかんだ。
 男子3000メートル障害で大健闘の6位に入った松本(長崎日大)は、もともと豊富な運動量を持ち味にしたサイドバックで、半年前の県新人大会や九州新人大会でもピッチに立っていた。
 ただ、定位置を獲得していたとは言い難く、出番が来るのはたいてい後半。交代要員としての起用が続いていた。
 「陸上だったらもっと上を目指せるかな」。ふと、駅伝メンバーとして借り出されていた陸上部が頭に浮かんだ。
 広田中時代はクラブチームでプレーしながら、週2回は陸上部で練習して中総体や駅伝に出場していた。長崎日大でも、助っ人として県高校駅伝に出て、長距離区間で1年時に区間5位、2年時は区間2位の力走。「レギュラーになれないかもしれないサッカーと、未知数の陸上。どちらのスポーツで上を目指すのがいいのか」。4月にサッカー部の坂本監督、陸上部の佐伯監督、両親と同じ席で話し合った末、陸上に懸ける決意をした。
 素質の高さは駅伝の実績から折り紙付き。サッカーで鍛えた跳躍力や器用さも助け、3000メートル障害で高い適性を見せた。5月の初戦で県高校記録を出した牟田(鎮西学院)に善戦。県高総体で大会記録に迫るタイムで2位に入り、今回が4戦目だった。
 決勝は3位集団の先頭に押し出され、後ろから4人が迫る苦しい展開。あごが上がり、左右に首を振って歯を食いしばっていると、スタンドから坂本監督の声援が聞こえた。力がみなぎった。順位は下げたものの、7位選手の猛追をかわした。ゴールする際は自然とガッツポーズが出た。
 箱根ランナーになるのが、新たに立てた目標だ。でも、サッカーの道を完全に絶ったわけではない。「みんなから選手権の時はまた戻って来いよと言われている。陸上部もサッカー部もいい仲間に恵まれた」。夏は陸上でインターハイへ、冬はサッカーで国立へ。実現できたら、かっこいいと思っている。

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