淡水養殖「勝山・やまのサーモン」地域の復活へブランド化 コロナ禍と豪雨災害を乗り越えて

海に面していない勝山市は、淡水で養殖したサーモンを「勝山・やまのサーモン」という名称で特産品としてブランド化することになり、18日、ブランドロゴの発表や試食会が行われました。

「勝山・やまのサーモン」は、市北部の山間部にある養殖場で育てられています。この養殖場は勝山淡水漁業生産組合が運営していて、約半世紀にわたり近くの旅館「あまごの宿」にアマゴやヤマメなどを提供、今回、淡水の養殖サーモンを新たな特産にしようという勝山市の提案で、2022年から養殖に乗り出しました。

18日は「あまごの宿」に関係者が集まり、「やまのサーモン」のブランドロゴなどが発表され、刺身の試食会も行われました。

勝山淡水漁業生産組合の北川雅敏組合長は「昨年試験的に育てて、市内の人からおいしいと言ってもらえて自信にもなった。召し上がっていただけると、間違いなくおいしいといっていただけると思います」と話しています。

北川組合長のブランド化への強い思いには、2年前のある出来事がありました。実は、この地域は2年前に豪雨災害に見舞われました。濁流が押し寄せ、養殖していたアマゴやヤマメなど合わせて21万匹のうち、7割ほどに当たる15万匹が死滅しました。

北川組合長は、「コロナの影響もあり、旅館も大変な目にあった。その中での集中豪雨。踏んだり蹴ったりでした。一言でなかなか言えないが、あのときの魚の状態をみたときには、これで終わりかなという気持ちになった。いろいろな方に励ましてもらって、それを励みにがんばってきた。ようやく元の状態に近づきつつある」と明るく語ります。

地域の復活をかけた新たなブランド「勝山・やまのサーモン」、この事業を手がける勝山市観光まちづくり会社によりますと、6月下旬から8月下旬までの2か月限定で、「あまごの宿」をはじめ、勝山市内の飲食店や市内の小中学校の給食で提供されます。今後は、加工食品の展開も含め、県内外での販売も検討されるということです。

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