福島県ナースセンター 看護補助者の求人仲介 今夏にも 職場定着を後押し

 看護人材の不足を受け、福島県看護協会が運営する県ナースセンターは今夏にも、看護師のサポートや患者の世話を担う看護補助者の求人・求職の取り扱いをハローワークと連携して始める。看護補助者は看護師の負担を軽減する役割を担うが、求人の難しさや離職者の多さにより、人材の確保が進んでいない。県内は看護職員が足りず苦しい医療環境にあり、職場定着を後押しし、医療サービスの向上につなげる。19日、郡山市で開いた協会の総会で明らかにした。

 看護補助者は医療機関で医療用品の補充、病室の清掃、患者の食事補助などを担当する。無資格、未経験でも勤務が可能だ。コロナ禍などの影響で看護職の離職が相次ぎ、さらに、医師の働き方改革で分担された業務を請け負う看護師の負担が一層増えている。医療現場の円滑な運営を支える存在として重視されている。

 県によると、県内では2020(令和2)年度時点で約2100人が従事している。これまでは医療機関がハローワークへの求人などを通して採用してきた。ただ、想定していた仕事と違う、体力・精神面で厳しい―などの理由で離職率が高い。日本看護協会によると、補助者全体の約3割が1年以内に離職している。

 県ナースセンターは、看護師、准看護師などに続いて看護補助者の求人・求職を取り扱い職種に加え、チラシを配布するなどして業務の魅力を伝える。今夏にも県内のハローワーク4カ所で医療従事者を講師とした説明会を開き、仕事内容に理解を深めてもらう。業務に必要な知識を学ぶ研修や施設見学を経て、ハローワークと情報共有しながら医療機関への就職を仲介する。

 グループ全体で59人の看護補助者が勤務している郡山市の星総合病院は、人材派遣会社に頼って募集している。採用しても「イメージと違った」などの理由で辞める人が後を絶たず、看護師の過重労働の解消は見通せない。看護補助者への手当が増えた今年度の診療報酬改定などを踏まえ、4月から正職員としての採用を始めた。

 久保木優佳法人看護部長は「研修は各施設より地域全体でやるのが効果的だ」と期待する。

 県ナースセンターは将来的な介護・看護の資格取得にも役立つ利点なども求職者にアピールする予定だ。杉田ゆかりセンター長は「少子高齢化で看護職の需要が増える中、看護師が専門的な役割に専念できる環境を整えたい」と語る。

 県は県内の病院と有床診療所約200施設のうち、規定の診療報酬を算定する医療機関に対し、看護補助者の賃金を引き上げる経費を補助している。

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