前半途中から5バック気味の変則的な守備に。マリノス主将・喜田拓也、さすがの状況判断とリーダーシップ

[J1第13節]横浜 3-2 広島/6月19日/ニッパツ三ツ沢球技場

横浜F・マリノスは6月19日、ニッパツ三ツ沢球技場で行なわれたJ1第13節(延期分)で、サンフレッチェ広島と対戦した。

開始2分に先制点を奪われた横浜は、27分にヤン・マテウスのゴールで同点に追いつく。52分には広島の満田誠の退場で数的優位に立つなか、77分に再び失点も、87分にアンデルソン・ロペス、その3分後にY・マテウスの得点で逆転し、3-2で勝利した。

この試合で横浜は、立ち上がりから広島の2シャドーの加藤陸次樹と大橋祐紀のマークに手を焼いていた印象だった。最初の失点も、大橋のパスに反応した加藤に決められたもので、その後も1.5列目から飛び出してくるふたりに、最終ラインの背後を突かれる場面が何度か見られ、押し込まれる時間が続いた。

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すると横浜は20分過ぎあたりから、アンカーの喜田拓也が広島の2シャドーのひとりについていくような守備に変更。時には喜田が最終ラインまでポジションを下げ、5バック気味で対応するシーンもあった。

ただ、これにより広島の加藤と大橋に効果的なパスが入る回数が減り、横浜が徐々にペースを掴んだように思う。後半、数的優位に立って以降は喜田が最終ラインに入るシーンはほとんどなかったが、この変則的な守備対応も勝利に繋がった要因のひとつと言えるだろう。

戦術的な対応だったのか、それともピッチ上での個人の判断だったのか。試合後、喜田は「どっちもありますけど、でも自分の判断でもあります」と話し、こう続けた。

「少し変則な形になりますけど、大事なのは形じゃなくて、相手がどう嫌がるかというところ。明らかにそっち(5バック気味)のほうが守備がハマっていたので、ハーフタイムにもそこの意図を共有しました。相手にそうさせられたわけではなく、自分たちからそうして、声かけもしていたので全然問題はなかった。今まで修正を繰り返してきたし、嫌がる守備は少しずつ成長しているのかなと思います」

トリコロールのキャプテンの状況判断とリーダーシップが光った一戦だった。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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