仙台で「ブレイキン」大会 パリ五輪の正式種目 東北でも人気拡大目指す

来月24日にパリオリンピックが始まります。今大会から「ブレイキン」というダンスの競技が正式種目になりました。ブレイキンはブレイクダンスとも呼ばれますが、県内では大会が少ないのが現状です。そんな中、宮城・東北でブレイキンを普及させようと奮闘している人がいます。

音楽に合わせて変幻自在に身体を動かし、アクロバティックな動きで魅了するこの競技。1970年代にアメリカ・ニューヨークで生まれたストリートダンス「ブレイキン」です。
DJが流す音楽に合わせてダンサーが交互にパフォーマンスし、ジャッジによる採点式で勝敗を決める即興のダンスバトルです。
今ではヒップホップなどのストリートダンスの中で、最もダンサー人口が多い競技とされていて、世界各地で大会が開催されています。若い世代をオリンピックに呼び込もうと、来月始まるパリオリンピックから正式種目となったことでも注目されています。

今月1日、仙台市のダンスホールで、そのブレイキンのアマチュア大会が開催されました。大会主催者の一人、仙台市在住の益子雅也さん(29)。

益子雅也さん
「東北ってこんなに面白いダンサーがいるんだとか見てもらいたい気持ちがある」

仙台で開催される、この大会にかける思いとは…。

大会のおよそ2週間前。益子さんは青葉区のダンススタジオで、ブレイキンの指導をしていました。
益子さんは、茨城県出身。大学生の時にブレイキンを始めました。

益子雅也さん
「技が得意な人もいれば、ずっと逆立ちしたりとか、みんな得意技が違うからそこがブレイクの楽しさかな」

益子さんの本業は看護師。仕事と両立しながら、ダンスを教えたり、国内外の大会に出場したりと精力的に活動しています。この日は大会に参加するダンサーたちに技の指導を行っていました。

益子雅也さん指導
「多分蹴っているんだけど、こっちに蹴っちゃっている。たぶんこっちに蹴れば…」
「やってみます」

一生懸命練習するレッスン生たち。しかし、仙台での活動にこんな思いを抱いていました。

レッスン生
「結構大きい大会だと、あんまり東北で開かれなかったりする」
「知ってもらえてない」
「みんな知ってくれたら良いなと思います」

ブレイキンの国内大会は競技人口が多い関東や関西などの主要都市で開催されることが多く、東北での開催は少ないのが現状です。同じような課題を感じていた益子さんは、国内の有名ダンサーを県内に呼び寄せて東北のブレイキンを盛り上げ、競技人口増加につなげようと、同級生のダンサーと一緒に仙台で大会を初めて開催することに決めました。

益子雅也さん
「東北ってこんなに面白いダンサーがいるんだとか、逆に東北のダンサーがなかなか見られなかった選手とかも今回来てくれるんで、今回の開催は楽しみな気持ちが大きい」

そして、いよいよ当日。大会を盛り上げようと、仙台のブレイキンのダンサー仲間がスタッフとして集まりました。初開催ということもあってステージを入念に確認し、会場設営を始める益子さんたち。今回は選手ではなく運営側に回りますが、少し緊張気味です。

益子雅也さん
「楽しみですけど、MCもあるので緊張はあります。全員が楽しんでくれるイベントにできたらなと」

そんな中、外には今か今かと開場を待つ多くの人が!出場者は120人。北海道、関東、関西など、全国各地からダンサーが集まる大規模な大会となりました。
仙台で大きな大会が開かれることに、地元の参加者は興奮を抑えきれない様子です。

仙台市在住の小学6年生
「うれしいです。仙台はブレイキンをやっている人が少なくて、とにかく楽しく踊って優勝したいです!」

いよいよブレイキンの大会が始まりました。2人1組のチーム戦で、3人の審査員のジャッジによって勝敗が決まるこの大会。参加者の中には去年の日本選手権準優勝で、今年度の日本代表強化選手という実力者もいて、ダンサーや観客たちは難度の高い技を食い入るように見つめます。
白熱したブレイキンのダンスバトル。初代優勝者は日本代表強化選手SHADE選手のペア、ARIYA。さすがの実力を見せつけました。

ARIYA(SHADE選手)
「1回目なのにすごくいろいろなところから人も集まっていたし、レベルの高いイベントになっていた」
ARIYA(RYUICHI選手)
「この大会が仙台の名物みたいになったら、もっと盛り上がっていろいろな人が来てくれたりということがあると思うので、ぜひ続けていってください」

初めての大会が大成功で幕を下ろし、益子さんも充実した表情を見せました。

益子雅也さん
「すごく盛り上がってくれたし、また次もやってよって言ってくれたことが本当にうれしい。五輪種目になれば、ダンス人口も増えてくると思う。もっと盛り上がっていけるんじゃないかな」

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