ついに本領を発揮! なでしこ期待のレフティ北川ひかる、全力プレーで被災した地元にパワーを【パリ五輪の選ばれし18人】

パリ五輪開幕まで約1か月となった。ここでは12年ぶりのメダル獲得を目ざす日本女子代表の選ばれし18人を紹介。今回はDF北川ひかるだ。

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期待されていたポテンシャルがついに発揮され始めた。INAC神戸レオネッサの北川ひかるは、今季に入っての充実した活躍により、パリ五輪のなでしこジャパンメンバー入りを勝ち取った。

北川は2015年のJFAアカデミー福島在籍中に浦和レッズレディースに特別指定登録され、当時の女子最高峰だったなでしこリーグデビュー。翌年に正式加入すると、最初のシーズンで左サイドバックのレギュラーとして躍動した。

チームが不振に陥るなかでもスピードあふれる突破と強烈な左足キックを武器に3ゴール。クロスからのアシストも多く、大きなインパクトを与えた。

一方でそれは、期待通りという表現もできる活躍だった。2014年にU-17女子ワールドカップ(W杯)、2016年にU-20女子W杯に出場した北川は、このチームでも左サイドのキーマンとして躍動。日本女子サッカー待望の左利きサイドバックとして、2017年には、なでしこジャパンでのデビューも飾っていた。

しかし、この年の途中から浦和Lで出場機会を減らし始め、翌2018年の夏にはアルビレックス新潟レディースに移籍。リーグの中でも力のあるサイドバックという評価はあったものの、なでしこジャパンからは遠ざかった。2022年の東アジア選手権で久々の復帰を果たしたものの、1試合の途中出場のみ。翌年の女子W杯ではメンバーに入らなかった。

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その北川は昨夏、I神戸へと移籍。3バックを採用するチームでは左のウイングバックが主戦場になったが、これによって持ち前の攻撃力が再び輝きだした。スタートポジションが高くなったことで、逆サイドにボールがある時にはゴール前まで飛び込むプレーも可能に。その結果、リーグ22試合の全てに出場して6ゴール。ベストイレブンも受賞し、皇后杯の優勝にも大きく貢献した。

そうした活躍がキャリアの風向きも少し変えてきた。今年2月のパリ五輪アジア最終予選は、北朝鮮とのホーム&アウェー2連戦だったが、当初はメンバーに選出されていなかった。しかし、負傷者が出たことで北川が追加招集された。そして、第2戦のホームゲームでフル出場してチームの五輪出場に大きく貢献。その後のブラジル遠征、スペイン遠征でもメンバー入りして急速にチーム内での存在感を大きくしてきた。

1月には出身の石川県が能登半島地震で被災。WEリーグのベストイレブン授賞式で北川は「あの震災があってから、本当に自分自身が地元にパワーを与えないと、と思ってプレーしていた」と話した。

日本全体が注目するパリ五輪で、ついに本領を発揮してきたなでしこ期待のレフティが全力プレーで勝利に導く姿を見せてくれるはずだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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