JR上熊本駅前の屋根落下事故を巡り、熊本市が今議会に提出していた施工業者を提訴する議案についてです。議会からは市の調査体制などに批判の声が上がり、「本委員会の質疑では足りない」として結論を次の議会に先送りする『継続審査』が望ましいとされました。
去年7月、JR上熊本駅前の屋根が落下した事故を巡っては、熊本市が「設計通りの施工ではない」として工事を請け負った2つの業者に対し総額約1億5000万円の損害賠償を訴える方針を今議会に議案として提出しています。
これに対し、業者側は先日、会見で「熊本地震発生直後から市に再三、追加工事を申し入れたが、市は一切対応しなかった」などと反論しています。
19日の委員会では委員から「市は事前に落下の可能性を想定できた。市が勝つ見込みはない」という声が上がり中断。
そして、20日、委員会が再開され、執行部が改めて提訴の理由を説明しました。
【熊本市土木部 宮崎 晶兆部長】
「今回の提訴は、完成から2カ月後に雨漏りが始まった屋根という納品物の可否について司法の判断を仰ぐもの。屋根の落下まで約7年2カ月、現場対応を行った市にも管理責任があり、パネル内に雨水滞留の可能性を把握していたことから、補修の方法を検討すべきだった」
熊本市は2016年の屋根完成から落下までの期間の管理責任を認めた一方で、完成から2カ月後に雨漏りが始まったことについて、「屋根の施工に業者の瑕疵があった」と主張しました。
【上田 芳裕 委員】
「全部の責任を施工業者に負わせるのは疑問」
【落水 清弘 委員】
「事故は引き渡された後に起きているんですよね? 業者に対して確認作業とか、立ち会ってくれとか当然あってしかるべきと思うが」
屋根が落下し、解体する際に施工業者を立ち会わせていないことなどについて、「事実の確認や調査が曖昧だ」という指摘が相次ぎました。
そして、議案に対して賛否の判断をする状況にないとして、結論を次の議会に先送りする『継続審査』が望ましいとされました。
【都市建設局 秋山 義典 局長】
「継続した調査検証が必要であることや、業者へのアプローチを継続すべきということで、委員からの指摘を踏まえて一つ一つの点について対応していきたい」