【ミャンマー】増える「ミャンマー難民」、アジア人道危機[社会]

事実上の内戦状態に陥ったミャンマーの「難民」が増加し続けている。バングラデシュ国境近くでは戦闘激化に伴い、イスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害が再び深刻化。国際的な支援が届きにくい国内避難民らを含めると、難民の総数は400万人を超え、ミャンマーを巡るアジア人道危機が深刻化している。

20日は国連が定める「世界難民の日」。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグランディ難民高等弁務官は声明で、「難民となった人々との連帯に向け、われわれにはもっとできることがある」と呼びかけた。

国内避難民や庇護(ひご)希望者を含む広義の「難民」は世界的に増え続けており、その数は計1億2,000万人に上るとされる。国・地域別ではシリアやウクライナ、ベネズエラなどが多いが、アジアではミャンマーがアフガニスタンに次いで多い。

UNHCRの国別データでミャンマー出身の「難民」は約330万人とされている。184万人超の国内避難民を含む数字だが、これは22年末時点でのもの。今年6月10日時点では国内避難民が313万人超まで増えている。

ミャンマーでは昨年10月、中国国境近くで三つの少数民族武装勢力が国軍への一斉攻撃を開始。国軍の弱体化を印象付け、各地で戦闘の激化を引き起こした。事態の深刻化を受け、タイやインド、バングラデシュなど近隣国は、不法移民の流入を警戒している。

武力紛争の激化に伴い各勢力は人員を増強しており、軍事政権は2月に徴兵制の実施を発表した。これを受けて若者による国外脱出の動きが活発になっており、軍政は出国に必要な書類の発給などで制限を加えている。

最大都市ヤンゴンに住む10代後半の女子大学生はNNAに、「誰もが不安を抱えている」と話した。市内は比較的平穏だが、徴兵制発表を受けてタイに脱出した同級生が少なくない。「遠くない将来、国外脱出を決意しなければならないだろう」と語った。

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