「俺たちが新しい歴史をつくる」 福岡大若葉がサッカー激戦区の頂点に 全国高校総体福岡予選で初V

練習中、チームメートに指示を出す福岡大若葉高サッカー部の主将、MF森部絢=12日、福岡市東区(撮影・山崎清文)

サッカー男子の福岡大若葉(福岡市)が全国高校総体(インターハイ)福岡県予選を制し、初めて本大会に挑む。創部6年目の新鋭ながら、東福岡や東海大福岡など全国レベルの実力校を立て続けに撃破。司令塔としてチームを頂点に導いた主将のMF森部絢(3年)は「自分たちの歴史をつくることができた」と胸を張った。(山崎清文)

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強豪ひしめくサッカー激戦区の福岡に新たな王者が誕生した。5月から6月にかけて行われた全国総体県予選。福岡大若葉は準決勝で東福岡を3―0で破ると、決勝でもGK森惺舞(3年)、MF重松怜音(2年)を中心とする鉄壁の守りで東海大福岡を1―0と封じた。チームのスローガンは「賢守速巧」。クレバーで組織的な守備と、スピードとテクニックを兼ね備えた攻撃を志向する。杉山公一監督(51)は「少しずつ目指すサッカーに近づいている」とうなずいた。

女子校から男女共学となった2019年に男子サッカー部も始動。系列の福岡大OBで九州国際大付の監督として元日本代表FW永井謙佑(J1名古屋)らを育てた杉山監督が就任した。福岡大の乾真寛監督(64)を総監督に招くなど、大学の全面的サポートを受けて強化を進めた。

練習場所は主に福岡大グラウンド。主軸が大学生と定期的に合同練習を行い、大会前には対戦相手を想定した〝スパーリングパートナー〟を務めてもらうなど「高大連携」のメリットを最大限生かす。森は「シュートのスピードや正確さなど、普段から上のレベルの先輩たちに刺激をもらっている」と意義を語る。

森部ら現在の3年生が4期生として入学した22年からは全国総体県予選、全国選手権県予選ともに8強入り。23年と今春の県新人大会で2年連続の準優勝を果たし、力を蓄えながら一歩ずつ頂上に近づいてきた。

約60人の選手のうち、福岡や鳥栖などJクラブの下部組織出身者が約20人と3分の1を占める。DFも兼ねる重松怜は福岡U―15(15歳未満)時代に日本サッカー協会(JFA)のエリートプログラムに招集されたことがある。重松怜は「歴史のある県内の高校を倒して、自分たちで伝統をつくる」との意気込みで福岡大若葉を選んだ。杉山監督は「森部らも他チームから声がかかっていたのに、勇気を持ってうちに来てくれた」と語る。

男子寮がなく、選手はほぼ全員が福岡市内や近郊から通う。「地元の選手中心のわれわれが成果を残せば、福岡の小中学年代の指導者も自信を持って選手を送り出してくれる」と杉山監督は将来も見据えている。

全国総体の男子サッカーは7月末に福島県で開幕。激戦区を制したとはいえ、全国の壁は厚い。福岡勢は東福岡が2連覇を達成した15年を最後に栄冠から遠ざかっている。「全国大会初出場初優勝」を目標に掲げる森部は「自分がどれだけ通用するか試すチャンスでもある。勝ちにこだわって結果を出したい」。さらなる高みを目指し、大舞台で歴史をつむぐ。

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