中古ゴルフショップで“自腹購入”した時も 原英莉花、試行錯誤のクラブ選びも決着間近「落ち着いた」

原英莉花がビッグトーナメントで上位発進を決めた。クラブも安定し、ここからが“原の季節”だ(撮影:上山敬太)

<アース・モンダミンカップ 初日◇20日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6688ヤード・パー72>

先週の「ニチレイレディス」は予選落ち。「ここのところスライスラインを引っかけたり、(フェースが)開いたりしていた」とグリーン上で苦しんでいた原英莉花だが、初日はそのパッティングが冴えわたった。

最終18番ホールでは、下り3.5メートルのスライスフックという難しいラインを決めてバーディフィニッシュ。これで4アンダーとし、4位タイに順位を上げた。「キャディの宮崎(晃一)さんが読むラインを頼りながらプレーしていたんですけど、自分とのフィーリングとマッチしていて」。パット数を「26」にまとめ、午後の最終組スタートだった一日を、いい形で締めくくった。

今週からパターをゾディアのマレット型から、ピン型にチェンジしたことも奏功した。「イメージを変えたくて、2年くらい前に作ってもらっていたものを引っ張り出してきました」。6番では下り2.5メートルのパーパットを残したが、これをねじ込んだ。さらに「残り3ホールで(上位との差を)縮めたかった」という16番では、手前6メートルからの強烈なフックラインを決めガッツポーズも飛び出す。「ずっと上りを打ち切れていなかったので、入ってよかった」。力強いプレーを取り戻しつつある。

この試合までに13試合に出場。5月のメジャー大会「ワールドレディスサロンパスカップ」で7位に入ったものの、トップ10はこの1試合のみで、予選落ちも5度とここまでなかなか満足いく結果が残せていない。メルセデス・ランキングも47位と、シード圏ギリギリというラインだが、そのひとつの原因として、クラブ構成がなかなか固まらなかったという点も挙げられる。だがここにきてようやく、「だいぶ自分のなかでしっくりくるものになって落ち着いた」と言えるまでになった。

例えば、春先にヘッド、シャフトともにいろいろと試してきたアイアンは、先々週からタイトリストの『T150』のヘッドに、USTマミヤのシャフト『アッタスFF 95(フレックスS)』を挿し、落ち着きが出てきた。これについては「打感、飛び感がすごく自分のなかでマッチしていた。ここまでロフトを寝かせていたのもあるけど、あまり飛ばなかったから振り切ることを意識していました。そのなかでシャフトもいろいろ試してきたけど、もう少し飛ぶヘッドにしたいと思った。(ロフトを)立たせるのも違うし、いろいろと探したなかでタイトリストがよかった」と、投入の理由を明かす。

サロンパスカップの練習日には、アイアン2セットをバッグに入れ練習ラウンドをする姿も見かけたほど。そしてその試行錯誤ぶりは、こんな言葉からも伝わってくる。「1カ月半くらい前に中古ショップで(タイトリストのアイアンを)買ったりもして(笑)。ゴルフショップに行くのはけっこう好きなんですけど、自分で見にいって…ゴルフパートナーですね(笑)」。

ここで購入したヘッドはシャフトとの相性がいまいちよくなかったため、結果的にタイトリストから提供を受けたものを今は使用しているが、“身銭”を切ってでも解決したい悩みだったことがうかがえる。ちなみにショップでは「紛れるのが得意なので」と、他のお客さんに見つかることはなかったと笑う。

この他にもドライバーがキャロウェイの『パラダイム』、3番ウッドも同社の『パラダイム Aiスモーク』など陣容は固まった。「きょうは60台を出せたので、あしたからもしっかり振り切って。パターも自分が出したいところに出して」。昨年も夏場に入ってから調子を挙げ、秋の「日本女子オープン」制覇につなげた。このビッグトーナメントから原の季節が始まるか。(文・間宮輝憲)

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