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警察捜査は時代とともに変わる。地域社会の人間関係が希薄化したことにより、聞き込み捜査など伝統的な手法での情報入手が難しくなっている一方、防犯カメラの映像は容疑者の摘発への有力な証拠となり、捜査に欠かせないものとなっている。
上書きする前に
県警は昨年、刑事総務課内に捜査支援分析室を新設した。重大事件が発生した際に防犯カメラやドライブレコーダーなどの客観的証拠の回収・分析、手口捜査などを行い、一線署を支援する。ただ、分析室の吾妻一照警部(46)は「捜査の基本は変わっていない。足で稼がなければいけないんです」と説明する。
防犯カメラの登場で捜査が楽になったわけではない。記録された映像は一定期間を過ぎると上書きされて消去されるものが多いため、迅速な確保が求められる。ひたすら現場周辺を歩き回り、カメラが設置されている住宅や企業などを探す。
防犯カメラを見つけても、映像を提供してもらえるかは交渉次第。「多くの方が協力してくれる。感謝しかない」と吾妻警部はしみじみと語る。容疑者につながる映像が見つかれば、さらに周辺の映像を集めてつなげる「リレー捜査」で地道に足跡を追う。
先輩から後輩へ
捜査の手法は先輩から後輩へと脈々と受け継がれている。吾妻警部と共に働く玉川涼馬巡査部長(33)は「新人のころは先輩に付いて現場を回り、捜査の仕方を学んだ」と振り返る。取り調べの時には「(容疑者に対しても)あいさつを大事にしろ。ないがしろにしては供述を取れない」と教えられ、今も実践している。
社会の変化に伴い、事件や犯罪の手口は多様化している。玉川巡査部長は「警察官も自身を刷新していく必要がある」と自らに言い聞かせるように語る。吾妻警部も「新しい犯罪手口に対応できるようにしたい」と力を込める。根底にあるのは県民の安全・安心を確保したい一心だ。「全ての捜査員がいち早く犯人を捕まえて事件を解決し、被害の続発を防ぎたいと考えている」。そのために、防犯カメラを探して靴底をすり減らす日々が続く。