長岡望悠、渡邊彩と〝91年トリオ〟で「勝ち切る」 久光スプリングスの新主将が語る新リーグ初代王者への思い【Vリーグ女子】

笑顔で新キャプテンとしての抱負を語る久光の栄絵里香(撮影・柿森英典)

バレーボールVリーグ女子1部(V1)の久光スプリングス(7月からSAGA久光スプリングス)の新キャプテンに就任したセッターの栄絵里香(33)を「西スポWEB OTTO!」が直撃した。リーグ優勝した2017~18年シーズンも務めており、再び巡ってきた大役。世代交代の必要性を感じていた本人は想像もしなかったという。10月に開幕する新リーグ「SVリーグ」で初代覇者を目指す酒井新悟監督(54)の決意を受け止め、チーム最年長の司令塔が「必勝」の二文字を胸に縫い付けた。
(聞き手・構成=西口憲一)

―酒井監督から直々に就任の要請があった。

「(5月12日の)ファン感(謝イベント)のちょっと前ぐらいですね。監督と話をさせていただく機会があって『考えてくれないか』と。てっきり、次のシーズンに向けた個人的なフィードバック的な話かな、と思っていたので『えっ、まじか!』という感じでした」

―スプリングスでは一度キャプテンを務めている。

「今回、私の中で『断る』という考えはありませんでした。一つ引っかかったのは、チームの将来を考えたときに、私がやるのはどうかなと…。ここ数年、中堅選手が一気に抜けたりして、難しいシーズンをリホ(前キャプテンの大竹里歩の愛称)が頑張ってまとめてくれました。本来なら、チームを引っ張っていく若い選手がやった方がいいのでは、と思っていました」

私にとってもいい刺激、成長につながる

―最終的には、どういう気持ちで受け止めたのか。

「監督は『チーム(の将来)も大事だけど、(SVリーグとなる)次のシーズンを初代(覇者)として勝ち切りたい』と。リーグの期間もこれまでより長くなりますし、いろいろな意味で変化の多いシーズンだからこそ、取り組み方も含めて大事になりますから」

―キャプテンの肩書が自身のセッターとしてのプラスにもなると捉えた。

「正直、バレー人生でのキャプテンは終わったのかな、と思っていたんですが(笑)。現役でプレーヤーを続ける以上は『現状維持』よりも、もっと上を目指したい。うまくなりたいし、いい選手になりたい。その気持ちはずっと持っています。もちろんチームのことを考えながらですが、私にとってもいい刺激といいますか、成長につながる。気持ちも引き締まります」

【次ページに続く】厳しさも大切

―これまでもチームを支える存在だった。

「決して気持ちが緩んでいたわけではないんですが、最年長ということで『リホがキャプテンをやっているから私たちが出過ぎたらいけない。リホもやりにくくなる』と考えていました。でも、(今後は)言うべきところではしっかりと言う。そういう面での厳しさも大切」

長丁場のシーズン、まずはコンディション

―日本代表ミドルブロッカーの渡邊彩選手が加入。

「何よりスピードがありますし、ブロックもしつこく跳んできて、駆け引きもしてくる。対戦相手としては嫌だなと(笑)。彼女は(宮城・古川学園)高校時代から知っていますし、一緒にできるのはやっぱりうれしい。年々同級生が減っていく中で、その中でも(1991年度生まれの)91年組は意外と、いろんなチームでそれぞれ頑張っているんですよ(笑)」

―長岡望悠選手、渡邊選手…同級生トリオの活躍も次シーズンの楽しみになる。

「この世界は、年齢的なものもありますし、自分が(現役を)続けたいといっても、チームの事情で、それが難しいケースもある。一年一年、結果を残すこと。やり切りたい、という思いです。私自身の練習は、まだトレーニングがメイン。長丁場のシーズンになるので、まずはコンディションをしっかりと整えます」

【次ページ】栄絵里香はこんな選手

栄絵里香(さかえ・えりか) 1991年4月3日生まれ。福岡県出身。ポジションはセッター。母と姉の影響で幼稚園の年長からバレーボールを始め、同県大野城市の下大利小では「下大利ジュニア」でプレー。博多女子中(福岡)から東九州龍谷高(大分)に進学。3年時の2009年に長岡望悠らと当時の「高校3冠」を達成し、全日本選手権でも高校生チーム初の4強入り。10年にデンソー入りし、15年に久光製薬(現久光)移籍。Vリーグ通算230試合出場を果たした21~22年シーズンに「Vリーグ栄誉賞」受賞。セッターとして「ベスト6」に輝く。身長168センチ。背番号11。

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