“新紙幣発行” 7月3日に迫る 鉄道・銀行は順調 飲食業や自販機は対応遅れ「間に合わない」との声も

7月3日に新しい紙幣が発行されます。1万円札は実業家の渋沢栄一、5000円札は女性の地位向上や教育に尽力した津田梅子、1000円札は細菌学で功績をあげた北里柴三郎です。デザインの変更は2004年以来20年ぶりで、特に1万円札は福沢諭吉から肖像が変わるのは40年ぶりです。新紙幣発行日が迫る中、その対応に苦慮する県内飲食店を取材しました。

福井市渕にあるラーメン店「まほろば」です。店はこの福井店含めて県内に3店舗あります。このラーメン店では、自動販売機でチケットを購入してラーメンを注文します。客が自ら注文と会計を行うことによって、その業務に必要なスタッフの人件費を削減できたり、注文ミスを防いだりできるメリットがあると言います。この券売機も、7月の新紙幣への対応を迫られています。

まほろばの青山力代表は、新紙幣への対応について「3店舗あるうちの1店舗は新紙幣対応。他の2店舗は予約中で、入荷待ちの状態。3カ月くらいじゃないかと言われている」と話します。新しい券売機が導入されるまでの間、新紙幣での支払いを希望する客に対しては、スタッフが旧紙幣に両替することで対応します。

そして、驚くのはその導入費用です。青山代表は、「1台670万~300万、オプションをつけると400万とかに。だいぶ痛いですね。出費になるので。かなりダメージ」と材料費が高騰している中での設備投資は、さらなる痛手と話します。

ただ、青山代表は「お客様に負担がないように我々が精いっぱいできることを頑張るだけ。スタッフにも負担をかけるのは申し訳ないけど、できるだけ早く導入できれば人件費のカバーにもなると思っている」と長い目で見ると必要な投資と考えています。

一方、県内鉄道の一つハピラインでは、順次準備を進めていて、7月3日にはすべての券売機で新紙幣に対応できる見通しです。また、福井銀行では、ATMについて、すでに切り替えを終えているため、現時点で全てのATMで新旧どちらの紙幣にも対応できるということです。

機械メーカーの業界団体・日本自動販売システム機械工業会によりますと、7月3日時点で新紙幣に対応している自販機および自動サービス機の割合は、ATMなど金融系機械は9割以上、鉄道・バスの券売機は8~9割とほとんどが対応している一方で、食券の自販機は5割、飲料の自販機に至っては2~3割程度しか対応していないと言います。

新紙幣発行日が迫る中、業界や事業者によっては一部で間に合わないところも出てきそうです。しばらくの間は、消費者も手持ちの現金で支払うたびに、ひと手間生じる可能性もあります。

気になる新紙幣の流通について、福井銀行によると、新紙幣は7月3日の朝に日銀の当座預金から引き出す形で本店営業部に入り、翌日の4日から各支店で支払いができるということです。

また、飲料の自販機自体の普及台数は、全国で約220万台、そのうち7月3日時点で
新紙幣に対応できるのは2~3割と、まだまだ時間がかかりそうです。

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