【夏への備え】冷房の効きやすさは家によって違う?「冷房しても暑い家」「涼しくなる家」の決定的な違いとは

2024年は猛暑の予想!自宅が「暑すぎる」人の体験談も

6月の後半に入りますが、すでに真夏日が続いています。

日本気象協会によると今年は梅雨前線の北上が遅れているため、本格的な梅雨の到来が例年よりも遅い傾向になるようです。

関東甲信地方では6月20日ごろに梅雨入りとなる予想で、梅雨入り直後から大雨となって、梅雨末期の豪雨には警戒が必要との情報も。

なお梅雨明け後には猛暑になり、残暑も厳しくなることが予想されています。

今年の夏はできるだけ涼しい場所で過ごすなどの工夫が必要になるとともに、室内でも決して無理をせずにエアコンを使用するようにした方がよいでしょう。

パナソニック株式会社「エオリア」の調査によると4月末時点でのエアコン利用率は47都道府県すべてで昨年同時期の利用率を上回っていて、全国的に冷房利用開始が早い傾向にあるそうです。

しかしエアコンの効き具合は家によって異なり、「お隣さんは涼しいといっているのに我が家ではエアコンをつけてもあまり涼しくならない」といったこともよく耳にします。

そこで今回は冷房しても家の中が暑い原因や、冷房が効く住まいにするためにリフォームで改善できるポイントを紹介したいと思います。

住宅のプロである筆者の目線からの意見も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

我が家が「冷房しても暑い」原因は?

【写真1枚目/全3枚】我が家が「冷房しても暑い」原因は?建てた家が「暑すぎた」人の体験談も次ページから紹介

冷房しても家の中が暑い原因には、窓の数や建物の向き・構造などが原因であることが多く、具体的には「窓が多い」、「風通しが悪い」、「部屋が南向き」などが代表的です。

実際に家を建てた人の体験談からもこれらの点について後悔しているケースが比較的多く見られます。

これからお伝えするのは、実際に注文住宅を建てた経験がある30歳代~40歳代の方の体験談です。

それでは一つずつ見ていきましょう。

暑い家に住む人の体験談1:窓をつけすぎた

夏場にはどんなにエアコンをかけても、屋外から太陽の熱が侵入してくるのを遮らない限り、部屋の中の温度はどんどん上昇してしまいます。

屋外からの熱の侵入が最も多い場所は窓で、全体のおよそ7割以上が窓からの熱とされています。

したがって部屋の中に窓が多い場合には、窓から出入りする熱への対策が不可欠となります。

夏は太陽の位置が高くなるため、軒やひさしがない場合には以下のような対策を取るとよいでしょう。

  • 南面の窓には簾(すだれ)やよしず、シェードなどの日よけ対策をする
  • 西面の日よけ対策を重点的に行う
  • 窓自体を断熱性能の高いものにする

とくに西日は低い位置から長時間日差しが差し込むようになるので、暑さ対策は必須といえます。

また窓自体を断熱性能の高いものにすることで、家の中への熱の出入りを抑えることができるようになります。

暑い家に住む人の体験談2:風通しのよい造りにすればよかった

暑い家に住む人の体験談2:風通しのよい造りにすればよかった

部屋の風通しを良くするためには、風の「入口」と「出口」をつくることが大切になります。

最低でも2か所以上の窓を、できるだけ部屋の対角線上になるように設けるのがポイントです。

これによって家の中に空気の流れをつくる必要があります。

また、風通しの改善には普段から窓を開けて換気を行うだけでなく、サーキュレーター(空気を循環させる装置)の活用や家具の配置の変更などが効果的です。

とくに真夏の暑い時期にエアコンを使うときには、サーキュレーターを併用することをおすすめします。

暑い家に住む人の体験談3:日常生活を送る部屋をすべて南側にした

南向きの部屋は昼間の長い時間太陽光が差し込むため、日中は照明をつける必要がなく、冬場は暖かくて過ごしやすいことがメリットとなります。

一方で、夏場には暑くなりすぎて一日中エアコンなしでは過ごせないということにもなりかねません。

エアコンのつけっぱなしは光熱費がかさむ原因にもなり、家計にとってはマイナスポイントとなるでしょう。

また南向きの部屋では家具や書籍などが日焼けしやすくなります。

書斎やコレクションルーム、食材を常温で保存するパントリーなどにはあまり適していません。

したがって部屋の用途によっては、南向きを避けた方がよい場合があります。

では、暑い家を「冷房がしっかり効く家」にするには、具体的にどのような対策が必要でしょうか。

次章からは「家が暑くなる原因」と「家を涼しくするための施工」について解説します。

冷房がしっかり効く家にするには?

冷房がしっかり効く家にするにはどうするのがいい?

夏に冷房しても部屋が暑いままで涼しくならない理由を、体験談をもとに3つ挙げましたが、最大の原因は「家の断熱性能が低いから」といえます。

屋根(天井裏)や外壁、床などの外周部に断熱材が入っていないのはもちろんのこと、たとえ断熱材が入っていたとしても施工が雑で隙間だらけだと気密性が低くなってしまうため、断熱材の性能を十分に活かしきれていないことが多いようです。

家の断熱性が高ければ室温が外気温に大きく左右されることなく、冷暖房の効きが良くなって快適な室温を保つことができるようになります。

したがって屋根や外壁、床、開口部(窓)といった外気に通じる部分に手を加え、家の断熱性を高めて気密化もしっかりと行うことで、外部からの熱の侵入を防ぐことができます。

具体的には天井裏や外壁面、床下に断熱材を隙間なく充填したり、内窓を設置したりするのが効果的です。

ガラスを複層ガラスに交換し、窓の断熱性を高めるといった方法もあります。

これらのリフォームを行うことで、真夏でも冷房がよく効く涼しい家にすることができます。

なお2024年現在、要件を満たすことで、最大60万円の補助金を受け取ることができる「子育てエコホーム支援事業」が行われています。

外壁、屋根、天井、床の断熱改修工事も対象になりますので、リフォームを検討している方は補助の対象になるのか確認してみるとよいでしょう。

まとめにかえて

室内の暑さの原因は、そのほとんどが「家の断熱性の低さ」といえます。

したがって真夏の暑さを解消するためには、高性能なエアコンに買い替えるよりも、断熱リフォームを行なって外部の熱を家の中に入れないようにする方が効果的です。

またエアコンの冷気は下部に溜まってしまうので、部屋の上下で温度差が生じてしまいます。

これを防ぐためには、サーキュレーターを併用して空気を循環させることをおすすめします。

参考資料

  • 日本気象協会「WeatherX」
  • パナソニック株式会社 エオリア「2024年今夏のエアコン利用意向に関する実態調査」
  • 国土交通省「子育てエコホーム支援事業」

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