『ウルトラセブン』恐怖感じた“異色エピソード”3選 怪獣と戦わなくても神回ばかり?

『ウルトラセブン』異色エピソードを紹介【写真:ENCOUNT編集部】

怪獣なしでウルトラセブンの魅力を引き出した放送回

1967年10月に放送が開始された『ウルトラセブン』。怪獣との戦いが描かれることの多い「ウルトラマン」シリーズにしては珍しく、セブンが怪獣と戦わないエピソードが存在する。一体どのエピソードだったか振り返ってみよう。

最初に紹介するのは、視聴者から「まるでホラー映画のよう」と声があがった第33話「侵略する死者たち」だ。ことの発端は、防衛軍基地周辺で頻発する交通事故である。基地に被害者が運ばれてくるが、そのすべてが身元不明の死体で何者かにより操られた形跡があった。死体は一旦基地に収容されるが、夜になると死体から霊が抜け出し、機密情報が収められたマイクロフィルムを盗んでしまうのだ。

機密情報を取り返すためにセブンに変身する主人公・ダンだが、霊の力によって体を小さくされ、透明な容器に閉じ込められてしまうなど、奇怪な状況が続く。

その後セブンは、霊を操っていた敵の宇宙ステーションを破壊して事件を解決するが、敵の宇宙人は姿も名前も分からないまま物語が終わる。そのためSNS上では「宇宙人が出てこないし不穏なBGMも相まって怖かった」「怖すぎて家の廊下を歩けなくなった」と第33話がトラウマとなった人の声があがっている。

続いて注目するのは第37話「盗まれたウルトラ・アイ」。この話でダンはセブンへの変身アイテムであるウルトラ・アイを、地球に侵入してきた円盤の搭乗者である少女・マヤに盗まれてしまう。

マヤはセブンの動きを封じる任務を受けたマゼラン星人であり、任務成功後は母星であるマゼラン星への迎えが来る予定だったのだ。しかし、マヤが成功をマゼラン星に伝えても、迎えに来る気配はない。それどころか恒星間弾道弾を発射し、マヤごと地球を破壊しようとしていた。

このエピソードでセブンが登場するのはマゼラン星から放たれた弾道弾に対峙(たいじ)する場面のみだ。ダンと少女・マヤとのやり取りが中心に描かれており、深い人間ドラマのような内容である。最後に自ら命を絶ったマヤに対して、同じ宇宙人であるダンが悲しむ姿がインパクトを残した。

最後は第43話「第四惑星の悪夢」だ。このエピソードはダンと同僚のソガが、宇宙ロケット・スコーピオン号の試験飛行でたどり着いた第四惑星が舞台。第四惑星は地球に似た風景だったが、住民はロボットの支配下にある状態である。ダンとソガは総合センターでロボット長官に会った際に、第四惑星が地球を支配しようとしていることを知る。

最終的にはダンがセブンに変身し、第四惑星の主要建築物や侵略部隊を殲滅させて地球を救う。ロボットの進化によって人が支配されてしまうとは、AIなどの技術が発展している現在の我々にとっては考えさせられる内容になっている。

紹介した3つのエピソードは怪獣や星人が登場しないものの、ほかのエピソードに負けないストーリー性を感じる神回ばかりだ。特撮としては異色だが、ドラマとして楽しめるこれらのエピソードは一見の価値ありといえるだろう。カキMONO.1

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