「欲との戦いですね」 岩井千怜は予選落ちに涙、エビアン出場権は“確定”ならず

悔しい場面が続いた(撮影:南しずか)

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 2日目◇21日◇サハリーCC(米ワシントン州)◇6731ヤード・パー72>

今季2勝で通算6勝。日本ツアーを引っ張る岩井千怜が、初出場の“女子プロゴルファー世界一決定戦”で予選落ちを喫した。初日はチャンスについたパターが決まらずに「77」、2日目は2バーディ・2ボギー・2ダブルボギーの「76」。この結果に感情を抑えきれず、悔し涙を流した。

出だしの10番こそ、3.5メートルにつけたバーディパットを決めたが、ここから上昇気流に乗れなかった。4~6メートルのチャンスがなかなか沈まない。打ち下ろしで手前に池が構える17番パー3では、手前から8メートルのピンの位置で、カップ手前2メートルにつけたが、2パットのパーとした。

「(前半でチャンスに)いっぱいついていたので、そこを1個でも沈められれば変わっていたかな。どこでもいいので、1個でも欲しかった」。前半はイーブンパー。折り返し直後の1番ではバーディを奪うも、続く2番でつまずく場面が訪れてしまう。

グリーン右手前に池があり、ピンはそのすぐ上。ファーストカットから残り91ヤードの3打目がその池に入った。5オン・2パットのダブルボギー。「ガラリと変わってしまった。欲が出ちゃうんですかね。安全に左から、バーディじゃなくてパーを拾うんだと切り替えないと、あとあと響くなと。欲との戦いですね」。日本とは異なり、米国のファーストカットは「逆目でねちっこい。芝に負けたりした」。そんな違いも身をもって経験し、それが次のメジャーに必要な“技術”でもあると再確認する。

今大会終了後の世界ランキング50位までに来月の「アムンディ・エビアン選手権」の出場資格が与えられるが、岩井は現在47位。予選落ちでポイントを獲得できないため、その出場権は吉報を待つことになる。ゴルフの聖地、セント・アンドリュースで行われる今季メジャー最終戦「AIG女子オープン」(全英)への切符はすでに得ている。

「エビアンはギリギリですけど、まだチャンスはある。終わりじゃないので、予選を通るというより優勝を目指して頑張りたい」。涙ながらに、力強い言葉とともに前を向いた。この2日間の経験を、決して無駄にはしない。(文・笠井あかり)

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