明暗分けた“池ポチャ” 畑岡奈紗は予選落ちでパリ五輪代表入りならず、渋野日向子に大逆転の可能性も?

畑岡奈紗は予選落ちとなった(撮影:南しずか)

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 2日目◇21日◇サハリーCC(米ワシントン州)◇6731ヤード・パー72>

「パリ五輪」代表争いは明暗が分かれた。今大会終了後の世界ランキングに基づく五輪ランキングで、出場選手が決定する。古江彩佳、畑岡奈紗、山下美夢有の3人が団子状態で争うなか、畑岡が予選落ち。ポイント獲得はならず、古江のポイントを上回ることはないため、選考レースから“脱落”することになった。

5オーバーから出た畑岡は、前半バーディなし。1つ落として後半へと向かった。10番で初バーディを奪ったものの、11番からは連続ボギー。13番で奪い返してトータル6オーバーに戻すなど、せめぎあいが続いた。16番では1.5メートルが決め切れずパー。コース上のリーダーボードはアナログ式でカットラインが分からない状態だが、この時点で1打のビハインドだった。

実測160ヤードで打ち下ろしの17番パー3は、グリーン手前に大きな池が待ち構える。ピンは手前から8ヤード、右から5ヤード。タイトな位置に切られているなか、7番アイアンから8番アイアンに持ち替えて放ったティショットが、池に消えた。「最初に打ったふたりが8番アイアンで奥までいったので(持ち替えた)。ピンの方向に向かっていたけど、タテ距離が合わなかったですね」。最終18番をバーディで締めくくったが、カットラインに2打及ばず。池が週末行きを阻んだ。

前回の「東京五輪」は稲見萌寧とともに日本代表として出場。再び日の丸を背負うことができないことよりも、いまはメジャーという大舞台で戦い切れなかったことが悔しい。「こういう結果は予想していなかった。先週から調整をしてきたけれど、首のケガもあって、思い切ったゴルフができなかった」。この1カ月ほど続く首の痛みも気になるところだ。

7月の「アムンディ・エビアン選手権」、8月の「AIG女子オープン」(全英)とメジャーは今季残り2試合。「シェブロンもそうでしたけど、調整が思うようにいっていない。 残り2つ(のメジャー)がヨーロッパであるので、なんとかそこでは調整していけるように頑張りたい」。結果を受け止め、悲願達成へと前を向いた。

17番をパーとして、3バーディ・1ボギーの「70」とアンダースコアにまとめたのは山下。「池が絡んでいるので、奥でいいかなと割り切って打つことができた」と奥9メートルに乗せて手堅く2パットで沈めた。その直前の16番ではグリーン奥のラフから4メートルと寄せきれなかったが、これを決めてパーセーブ。ガッツポーズもみせた。

初日は6つのバーディを奪いながらも、ボギーが5つ。きょうはボギーを1つにとどめて、安定したショットとともに確実なプレーを展開した。「まずは予選通過できた。残り2日間戦えるので、一打でも伸ばせるように全力で頑張りたい」。

古江は3バーディ・5ボギーの「74」。12番まで4つのボギーが来たが、13番からの連続バーディで持ち直した。17番では畑岡と同じく“池ポチャ”。「ちょうどくらいのクラブかなと思ったけれど、ミスヒットした。絶対に乗せとけばいいパー3なので、あそこはダメなミスだった」。それでも処置後の残り79ヤードから2.5メートルにつけて“ナイスボギー。18番でバウンスバックを決めてホールアウトした。

代表の座を争う『YAMASHITA』のスコアはリーダーボードで確認していた。「(意識が)ないことはない」というのが正直な気持ち。それでも、「自分の調子が良くなかったので、耐えるだけと思っていた」とプレーに没頭した。「途中、イヤな気持ちになったけど、集中し直してバーディも取れた。気持ちをフラットにやっていけたら。バーディを取っても喜ぶこともないし、安心できるコースではない」。気合を入れ直して週末を見据えた。

古江は3位、山下は2位までにはいれば、世界ランキングトップ15に入る見込み。さらに2打差3位につける渋野日向子、決勝に進んだ岩井明愛や竹田麗央が巻き返して優勝すれば、古江と山下の順位によっては“大逆転”する可能性もある。どの位置で最終日を迎えるか。し烈な代表争いはムービングデーが大きな山場になりそうだ。(文・笠井あかり)

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