吉井裕鷹が攻守においてアピールに成功…ファウルアウトを反省するも五輪ロスター争いに好感触

6月22日、男子日本代表の強化試合「日本生命カップ2024(北海道大会)」対オーストラリア代表との第1戦が北海きたえーるで開催。日本は序盤で最大15点のリードを奪う場面もあったが、試合終盤に逆転を許し89−90と敗戦。しかし、今大会は勝敗ではなく、パリオリンピックでの本番に向かう男子代表が、最終的にどのようなチームになっていくのかを模索していくことも大きな目的だ。

さまざまな5人のコンビネーションを試しながら最終ロスター12人を選考する意味合いが強いなか、存在 感を示した一人が4番ポジション(PF)の先発として起用された吉井裕鷹(三遠ネオフェニックス)だった。

吉井はこの日、チームで3番目に多い23分51秒プレーし、10得点2アシスト2スティールをマーク。オフェンスでは3ポイントを躊躇なく打ちきり3本中2本成功、スペースを見つければリングアタックを図り、キックアウトの展開も作った。

ディフェンスではマンツーマンはもちろん、ボールマンへのヘルプでも効果的なタイミングでフィジカルコンタクトを仕掛けていく。

守備でのハイライトは第4クオーター序盤、自分より幅のある198センチ108キロのケリ・ルペッペとのマッチアップだった。まずはスクリーナーに吹き飛ばされた吉井だが、すぐに立ち上がりルペッペにフィジカルチェックに行ったことでミスを誘発。馬場雄大の背後からのスティール&速攻レイアップのお膳立てをすると、直後の相手のポゼッションではトップ位置で再びチェックに行くとルペッペを苛立たせ、チャージングを誘発してみせた。

だが、吉井はゲームを通して思わず手を出すファウルが多く、試合時間残り1分52秒でファウルアウトに。個人としては攻守ともに決して悪い出来ではない印象だったが、このファウルアウトが自己評価をそれほど高いものにしていなかった。

「まあ、ファウルが多かったので……でも、アグレッシブにプレーした結果、スティールも2つありましたし、相手からチャージングを取った場面もありました。オフェンスはもう少し自分が走って周りを動かせればよかったかなかと思いますが、3ポイントは打てるタイミングがあれば打つ意識はあったので、それはできたと思います。

(もっとできたという自己評価?)攻守ともにもう少しできたと思います。あ、でも、もっとやってしまうとディフェンスはもっとファウルがかさむか……(笑)。なので、いい感じにアグレッシブにいって、ファウルにならない程度にできるよう、とにかく(ファウルになる)余計な手を出さないように意識したいと思います」

吉井は昨年夏のワールドカップ日本代表メンバー。全5試合に出場し、チームで5番目に多い1試合平均20.6分のプレー機会を与えられた。主要項目のスタッツは2.2得点2.2リバウンド1.6アシストだが、大会史上初の欧州勢から勝利を挙げたフィンランド戦(予選リーグ2試合目)、勝てば自力でのオリンピック出場権獲得となるカーボベルデ戦(17〜32位決定戦/最終戦)では各25分プレーし、吉井がコートにいる間のチーム得失点差はそれぞれ+16点、+4点とその存在で勝ちゲームに貢献していたことを証明している。

自身の持ち味を発揮したと言える吉井のパフォーマンスだった [写真]=野口岳彦

吉井自身は得点でも、リバウンドでも、数字を伸ばす意欲はもちろんあるが、それはすべてチームの勝利に直結するものでなければならない。

7月、東京・有明アリーナで行われる韓国との強化試合2試合では、渡邊雄太、八村塁というビッグフォワードがチームに合流する可能性を秘めている。彼らが入っても、入らなくても、自分が勝利に貢献することーーオリンピック本番に向けて、吉井が追求するプレーは、変わることはない。

文=牧野豊

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