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子どもの貧困対策推進法施行から今年で10年。同法施行を機に展開した前回連載では、貧困の中にいる子どもたちの存在を認識するよう訴えた。
行政や民間団体が困窮する子どもたちの姿に目を凝らした結果、生活支援をする子どもの居場所など、子どもを支える場は県内各地で増えた。取材で足を運び、困窮家庭で暮らす子どもとより多く接することができたのは、そのまま「貧困の見える化」が進んだ表れだ。
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成果の一方で、改めて見えてきた課題がある。
第5章「365歩のマーチ」で、2014年に独自の子どもの貧困対策計画の策定に取り組んだ小山市を取り上げた。
「こんな家庭が小山にあるのか」
計画策定のきっかけは、当時の連載で市内に住む困窮家庭の存在を知った市長の驚き。その日を境に、強力なリーダーシップを発揮して対策に乗り出した。
対策は市長が代わった現在も継続されている。一方で、市政にはほかにも優先せざるを得ない課題がいくつもあり、子どもの貧困率の改善は進んでいない。道のりは険しい。
前回の連載で子どもの貧困対策の先進地として紹介した英国。1999年のトニー・ブレア首相(当時)による「ブレア宣言」を契機に国を挙げて対策を講じ、子どもの貧困率を大きく改善させた。その後の進捗(しんちょく)を確かめたくて今年5月、再び訪れた。
政権交代が起こり、10年の間に子どもの貧困率は悪化していた。政策の優先順位が変わり、社会保障費が削減され、その影響が子どもたちに及んでいた。
小山市と英国。国も規模も異なるが、共通しているのは対策を進めていくことの難しさ。
「常に前進していかない限り、子どもの貧困対策は後退する」
英国の民間団体の女性の言葉が、両者に突きつけられている課題を端的に言い表している。
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求められるのは、子どもの貧困対策の絶えることのない進展だ。
困窮する子どもや若者支援に取り組む「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」など計5団体は5月、都内で緊急集会を開いた。貧困対策の推進にとどまることなく、「解消」するために法改正の必要性を訴えた。
今月19日、改正子どもの貧困対策推進法、「こどもの貧困解消法」が成立。基本的施策の中に、国や地方自治体は、貧困の子どもや家族を支援する民間団体に財政上の措置を講ずることなどを明記した。
子どもの育ちが家庭や地域、ましてや政府に左右されることのないように。官と民が手を携え、「子どもの貧困を解消する」という国民運動として取り組み続けたい。