福田知事6選出馬表明、県政界から賛否の声 実績評価や多選批判

記者会見で6選出馬を表明する福田知事=21日午後7時55分、宇都宮市駒生1丁目

 12月の任期満了に伴う栃木県知事選で、福田富一(ふくだとみかず)知事(71)が21日に6選出馬を正式表明したことを受け、県政界からは賛否の声が上がった。自民、公明の与党幹部は福田氏のこれまでの実績を評価し続投を望む。「5期で緩みがある」。一方の立憲民主党や共産党の野党幹部は刷新を求める。多選批判は野党にとどまらず、与党内にもくすぶっている。

 自民県連の木村好文(きむらよしふみ)幹事長は、県内産業を支える人材の定着や農産物輸出拡大のためにも、福田県政の継続を望む。「5期20年の中でしっかり学び、着実に結果を出している」と手腕を評価。多選批判に関しては「(対立候補が出たとして)その経験があるのか」と意に介さない。

 公明県本部の野澤和一(のざわかずいち)代表は「『現場第一で政策を進める知事』という評価は今も変わらない」と話す。多選批判には身構えるが、「知事は初心を忘れず、惰性で進めたり、私利私欲に走ったりすることがない」と語った。

 一方、立民県連の小池篤史(こいけあつし)幹事長は、6選出馬を表明した21日の記者会見で福田氏が「(周りの)忖度(そんたく)はあるかもしれない」と発言したことに違和感を覚える。多選の弊害を念頭に「5期で緩みがあるのに、この先出てどうなるのか。身を引くべきだった」と批判した。

 「新しい人に道を譲ってもよかったのではないか」。共産県委員会の野村節子(のむらせつこ)副委員長は「(福田氏は)企業などの方を向いて熱心にやってきたが、一番の問題は県民の暮らしがよくなっていないこと」と指摘した。

 県政史上例のない6選出馬に、自民内にも異論は出ている。関係者の一人は「どんなに良い人でも6選はやるべきじゃない。トップが変わることで日が当たる人もいる。(福田氏を)応援する気持ちはこれまでより弱い」とこぼした。

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