負けなくてよかったソフトバンク それにしても近藤健介はすごすぎる【評論家の視点】

9回無死、左翼線に二塁打を放ち雄たけびを上げる近藤(撮影・穴井友梨)

◆ソフトバンク6―6ロッテ(23日、みずほペイペイドーム)

両チームともよく粘ったすごい試合。年間を通してもなかなかないと思う。それでもソフトバンクは負けなくてよかった。交流戦明け最初の3連戦は2勝1分け。3連勝は逃したものの、どっちが勝ってもおかしくない〝行ったり来たり〟の展開で勝っておきたかったロッテとは状況が違う。最高の滑り出しとも言っていい。総力戦を戦った翌日が休みというのも風向きがいい。

ソフトバンクにとっては不運な安打や打球が多かった上、9回にオスナがソトに逆転弾を浴びて万事休すかと思われた。その直後に先頭の近藤が二塁打で出た。続く緒方がしっかりバントを決めて同点につなげた。こうしたプレーが本当に大きかった。ファインプレーの後で失点につながる悪送球をした広瀬、ヒーローになり損ねた佐藤直、そしてオスナ…。負けなくて救われた選手は多い。

それにしても改めて感じるのは近藤のすごさだ。彼はチームの中でもミスショットをした際に最も悔しがる選手だと聞く、初回、1点差を追い付いてなお1死一、三塁で二ゴロ併殺に倒れたが、次の打席以降は本塁打、四球、二塁打だ。悔しさを倍以上に返す。結果を出しても満足しない。投手は投げるところがなくなったのではとも思わせる。

9回の二塁打の後で代走を出されたのは右手を痛めた関係でスライディングに不安があるかららしい。打つ時も右手の痛みはあるはずだが、それでも痛めた後に本塁打を3本も打っている。それが彼の力なのだろう。何度も言うが、すごいとしか言いようがない。(西日本スポーツ評論家)

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