鹿児島県知事選の告示後、初の日曜日となった23日、3人の候補者は大票田の鹿児島市などを巡り、買い物客らをターゲットに持論を訴えた。新型コロナウイルス禍の4年前とは打って変わってマスクは着けず、有権者の元に向かい熱心に握手を交わした。“定番”の選挙戦が復活したと言えそうだ。
新人の米丸麻希子さん(49)は鹿児島市内を遊説。谷山地区の商業施設「たわわタウン谷山」前では額に汗を浮かべ、「子ども医療費の窓口負担ゼロを実現したい。鹿児島の未来を託してほしい」と呼びかけた。その後、聴衆一人一人に笑顔で「よろしくお願いします」と握手して回った。
陣営は「候補者の力強い思いが伝わる有効な手段」とコロナ後の“握手解禁”を歓迎する。対面はインターネットで支持を求めるより知名度アップに確実と読む。マスク姿の有権者にはグータッチで浸透を図るよう配慮している。
新人の樋之口里花さん(52)は鹿児島市与次郎地区の商業施設前を出発し、指宿市へ。九州電力川内原発の運転延長や西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に反対の立場から、買い物客らに「大事なことは県民投票で決めよう」「原発も基地もない鹿児島をつくっていこう」と声を張り上げた。
演説後は「庶民の声を聞いてくれる知事になって」と激励する聴衆に駆け寄り精力的に握手。コロナ禍当時より通行人が多いとあって選挙カーから手を振るのにも熱を込めた。反応があると「元気をもらえる」と手応えを感じていた。
現職の塩田康一さん(58)は鹿児島市と姶良市の住宅地を中心に回り、スーパー前などで街頭演説を打った。子ども医療費の窓口負担ゼロや給食無償化の実現へ「全国一律で実施するよう今後も国に要望していく」と強調した。
新人2人と同様、集まった支持者らとの握手に余念がなく、写真撮影にも気さくに応じていた。陣営スタッフは、前回は感染対策を最優先にマスク姿で有権者との触れ合いも最小限にしていたと振り返り、「今回は迷いなく握手できる。多くの人と顔を合わせてアピールしたい」と話した。