養殖サクラマス大きく 射水・堀岡漁協、成育環境の工夫実る

海上のいけすから水揚げされたサクラマス=3月、射水市海竜町

  ●例年より0.3キロ重く 3.7キロの大物も初出荷

 射水市の堀岡養殖漁業協同組合が海上のいけすで養殖する特産「いみずサクラマス」が今季大きく育った。1匹の平均の重さは例年より0.3キロ重い1.5キロとなり、昨季より一回りほど肥えた魚の出荷が続いている。餌の回数を倍にし、いけす内の個体数を減らすなど育ちやすい環境を整えた成果で、能登半島地震で施設の一部が使用できない状態が続く中、関係者は過去最高の仕上がりを喜び、ブランド化の促進に手応えを感じている。

 射水市では2013年から堀岡養殖漁協と大門漁協が連携して養殖を始め、15年に陸上で完全養殖に成功した。18年から海上養殖を始め、現在は岸壁から約30メートル離れたいけす4槽で稚魚の状態から育てている。

 今季はサイズを大きくするため、餌をやる回数を昨季までの2回から4回に増やした。養殖する稚魚の数を昨季までの2万匹から1万3千匹に減らし、陸上施設で海水に慣れされてから海上のいけすに移すなど、魚がストレスを感じにくい環境整備を試みた。

 3月から今季の出荷を始めたところ、例年ほとんど見られない重さ3キロ超えのサクラマスが10匹以上水揚げされ、今月14日には過去最大となる3.7キロの大物も揚がった。競りも好評で安定した値がついている。

 1月の能登半島地震の影響で養殖に使用していたプレハブ1棟に亀裂が見つかり、海水を水槽に送る配管も壊れて、陸上施設の一部が使用できなくなっている。海上のいけすに津波などの被害はなかった。

 堀岡養殖漁業協同組合は今後、サクラマスの価値を高める加工に力を入れることにしており、養殖チームリーダーの酒井克典さん(24)は「地震で心配したが、無事に出荷できて良かった。今後も工夫を凝らし、ブランド化を進めていきたい」と話した。

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