【J2「鬼門」】清水、またしても惨敗…シーズン6敗すべてアウェイ 運動量の少なさ、連動性のなさ…自動昇格圏外の3位転落の正念場(1)

攻撃の要・乾貴士が後半から投入されるも……  撮影/中地拓也

■清水が敵地・秋田でまたも…

「超攻撃的」が、負の連鎖を断ち切れない。

J2リーグ第21節が6月22、23日に開催され、23日、首位の清水エスパルスは10位のブラウブリッツ秋田と敵地で対戦した。

清水は今シーズンの5敗すべてをアウェイで喫している。直近のアウェイゲームは3連敗中だ。

秋葉監督は試合前から動いた。主戦術の4-2-3-1でもオプションの3-4-2-1でもなく、4-4-2を採用したのである。FWドウグラス・タンキは7試合ぶり2度目のスタメンで、FW北川航也と2トップを組む。右SB吉田豊も5試合ぶりの先発だ。住吉ジェラニレショーンが2試合連続でメンバー外のCBは、原輝綺がCB高橋祐治のパートナーに指名された。MF乾貴士、MFルーカス・ブラガは、ベンチスタートとなった。

しかし、システムとメンバーの変更は奏功しないのだ。13分、秋田が得意とする右サイド(清水の左サイド)から侵入され、守備を完全に揺さぶられて先制点を喫した。

2試合連続で追いかける展開となっても、攻撃のギアがなかなか上がらない。好調時なら「慌てずに反撃していく」と表現できるのだが、この日は運動量が圧倒的に少ない。ボールに関わる選手が限られ、攻撃に連動性も連続性もないのである。

42分には2点目を奪われる。前線へのロングパスで起点を作られ、右サイドから左サイドへのクロスで目線をズラされる。相手のヘディングの折り返しをGK権田修一が大きく弾き出せず、フリーで待ち構える選手に押し込まれてしまった。ここでも、清水の選手たちは足が止まっていたのである。

■途中出場の松崎が攻撃を活性化するも

後半開始とともに、秋葉監督が交代カードを切る。吉田に代わってDF高木践、MF中村亮太朗に代わって乾が入る。高木はCBに入り、原が右SBにスライドした。乾は左MFの位置に立つ。

ところが、後半開始直後の50分に3失点目を喫してしまうのだ。左CKからヘディングシュートを決められた。ゾーンディフェンスの間でFW青木翔大をフリーにしてしまい、地面に叩きつけるお手本のようなヘディングシュートを見舞われた。

秋葉監督は55分にドウグラス・タンキを下げ、MF白崎凌兵を投入する。67分にはMF矢島慎也からルーカス・ブラガ、69分にはカルリーニョス・ジュニオからMF松崎快と、攻撃のカードを切っていく。システムも北川を1トップとした4-2-3-1に変わった。

70分にはCB高橋のロングパスを松崎が右サイドで収め、ポケット付近まで侵入してマイナスへパスを通す。走り込んだ原の左足シュートがDFに当たり、GKの逆を突いてネットを揺らした。

アシストを決めた松崎は、その後も攻撃を活性化する。チームとしても連動性が見られるようになったが、相手GKを脅かす場面は多くないのだ。1対3のままで終了のホイッスルを聞いた。

今節を終えて勝点「43」の清水は、横浜FC、V・ファーレン長崎に勝点で並ばれ、得失点差で首位から3位へ転落した。長崎は消化試合数がひとつ少ない。26日開催の未消化分で勝利すると、勝点「46」で一歩抜け出すことになる。

2試合連続の3失点でアウェイ通算4連敗となった試合後、秋葉監督は厳しい表情でフラッシュインタビューに答えた。

「誰も助けてくれないこの状況で、自分たちでどう乗り越えていくか。全員の力が正しく勝利へ迎えるように、また1週間もがいて、もがいて、必死になってトレーニングしたい」

次節は4位ファジアーノ岡山をホームに迎える。勝点差「6」での直接対決は、重要な6ポイントマッチだ。自動昇格圏を争っていくために、岡山戦は勝点3が必須だ。「超攻撃的」を掲げる清水の胆力が問われる。

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