平日の過ごし方選ぶ「チャレンジデー」 長崎東中・高で開始 生徒の自主性育み、働き方改革も 

数人が登校した高校3年の教室=長崎東中・高

 長崎県教委は本年度、生徒が主体の学校づくりや教職員の働き方改革を学校独自で進める「イノベーションハイスクール」に県立4校を指定した。このうち県立長崎東中・高では、一環として授業や課題、部活動がない「ひがしチャレンジデー」を先月から試験的にスタート。平日は授業や課題、土日は部活動、部活が休みでも試験勉強や模擬試験と、日々多忙な生徒や教員が自由に一日の過ごし方を計画し、時間を最大限に活用する試みだ。今月の実施日に現場を取材した。
 11日、長崎市立山5丁目の県立長崎東中・高。普段なら授業が始まる午前8時40分ごろ、高校3年の教室が並ぶ2階をのぞくと、テスト中のように静か。端の教室には5、6人の生徒がまばらに着席し、ほかの教室は鍵が閉まって誰もいない。机に向かう女子生徒に何をしているか尋ねると「今は国語の勉強だけど、いろんな教科を同じぐらいしようかと思ってます」と笑顔を見せた。
 生徒が主体的に考えて挑戦する、今までの学校にない新しい取り組みとして名付けた「ひがしチャレンジデー」。この日は中学、高校とも生徒は登校してもしなくても自由。登校する場合は午前、午後、終日の三つから選ぶ。部活も、大会を間近に控える場合などを除いて原則休み。11日は高校で813人中24人、中学で360人中約30人が登校した。
 前回も登校したという高校3年の梶村瑛さん(17)は高総体後に部活を引退しており、受験勉強に切り替える気持ちで今回も学校に来た。「個人的にはうれしい。授業じゃなくて自分がしたい勉強を中心にできる。そういう日がもうちょっとあってもいいかな」と、充実した時間を過ごしている様子だった。
 高校のみで実施した5月の生徒へのアンケートでは、過ごし方としてリフレッシュや勉強が多く挙がった。趣味に時間を使ったり、家やいつもと違う場所で勉強したり。授業や部活でなかなかいけない病院に行ったり、家族とゆっくり過ごしたりした生徒も。一方、授業がないことで勉強が遅れるとの不安の声も一部あったという。
 取り組みには教員の働き方改革を進める狙いもある。チャレンジデーは授業がないため、学校側は教員の年休取得を推進。この日休んだのは中高で事務職員を除く全体の約65%に当たる50人。業務を終え途中から休暇を取る教員もいた。尾﨑誠吾副校長は「生徒がいない時に集中してやりたい仕事もあるから、(出勤する先生は)そういうことにも使っているのでは」と話す。
 ひがしチャレンジデーは本年度、高校で9日間、中学で6日間を予定。今後もアンケートなどを実施し、意見を聞きながら進めるとしている。

© 株式会社長崎新聞社