「キャリアで一番長い18ホール」エイミー・ヤンがメジャー初Vでパリ五輪に滑り込み

キャリア75戦目のメジャーで初めて頂点に(撮影/村上航)

◇女子メジャー第3戦◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日(23日)◇サハリーCC(ワシントン州)◇6731yd(パー72)

タイトルを確実にして最終18番(パー5)のフェアウェイを歩きながら、エイミー・ヤンはキャディに言った。「キャリアの中で一番長い18ホールだった」。単独首位からのスタートし、2打だったリードは一時7打まで広がった。それでも、前夜から感じていたストレスとプレッシャーが和らぐことはなかったという。「引退するまでにメジャーで勝てるだろうかと思ったこともあった。ついに成し遂げることができた」。全てから解放された喜びがにじんだ。

歓喜のシャンパンファイト(撮影/村上航)

1番でバーディを先行すると、ティショットを右に大きく曲げた2番も動かせない障害物からの救済を受け、パー5だったこともあってバーディチャンスを作れた。3番のボギーで同じ最終組の山下美夢有との差は1打に迫られたが、5番(パー3)で花道からチップインバーディ。スコアを伸ばした8番で山下がダブルボギーをたたき、独走ムードが漂った。

4日間でオーバーパーを打たなかったのはアリー・ユーイングと2人だけ(撮影/村上航)

ほぼ危なげなくゲームを進めていたサンデーバックナインの16番でボギー。なおも5打のリードがある17番(パー3)では池に落としてダブルボギーを喫した。最後に少しだけかいた冷や汗も、18番グリーンで待ち構えていた韓国の後輩たちがたっぷりかけてくれたシャンパンが洗い流してくれる。

昨季のツアー最終戦「CMEグループ ツアー選手権」で畑岡奈紗との優勝争いを制して以来の美酒が悲願のメジャータイトルとなったが、今季に入ってからの状態は決して良くなかった。11試合でトップ20フィニッシュもなく、「全米女子オープン」を含めて直近2試合は予選落ち。年明け時点で16位だった世界ランキングは25位まで後退していた。

2016年リオ以来の五輪へ(撮影/村上航)

メジャー優勝で世界ランクのポイント100ptを獲得し、ひとつの国・地域から最大4人まで出場できるランク15位以内に浮上する見込み。コ・ジンヨン、キム・ヒョージュとともに8月「パリ五輪」の韓国代表入りを決めた。

「今年の最大目標のひとつ」と位置付けていた五輪切符を勝ち取り、モチベーションはがぜん高まる。来月28日が35歳の誕生日。「ゴルフはとても簡単で楽しいと感じる日もあれば、早く引退したいと感じる日もある」。そう言って笑ったが、まだまだやめられそうにない。(ワシントン州サマミッシュ/亀山泰宏)

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