メジャー2位山下美夢有は「メダル獲る力ある」 笹生優花と五輪当確、小林会長が太鼓判「大したもん」

KPMG全米女子プロ選手権に出場した山下美夢有【写真:Getty Images】

アース・モンダミンカップ最終日に会見

米女子ゴルフのメジャー第3戦「KPMG全米女子プロ選手権」は現地時間23日、ワシントン州サマミッシュのサハリーCC(6731ヤード、パー72)で最終日が行われ、2打差2位で出た山下美夢有(加賀電子)が通算4アンダーの2位に入った。渋野日向子、西郷真央が揃って7位となり、日本勢3人がトップ10入り。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の小林浩美会長は「選手、周囲の努力の賜物」と評価。笹生優花、山下の出場が濃厚となったパリ五輪については「(日本勢が)メダルを獲れる力があると思います」と期待した。

「うれし~い。ものすごくうれしいし、大したもんだし、すごい。誇らしいです」

国内女子ゴルフツアー、アース・モンダミンカップが降雨によるコースコンディション不良のため、今大会では4年ぶりの「月曜最終R」を実施。24日に千葉・カメリアヒルズCC(6688ヤード、パー72)で最終日が開催された。会見を行った小林会長は、手をたたきながら喜びを口にした。

全米女子プロ最終日のテレビ中継は見ていなかったものの、「リーダーボードの(ネット)速報は気になってスマホでずっと見ていました」。その上で「最終ホールで山下さんが、バーディーを決めて2位になったことはすごいことです。それだけの技術的なベースがあって、負けない気持ちがあり、平常心でやれているからだと思います」などと絶賛した。

3週前の全米女子オープンでは笹生優花が優勝し、渋野が2位。計5人がトップ10入りし、今大会では3人が入った。その要因については「(国内ツアーの)全てのハードルを上げたこともあると思います」と分析した。

2019年に規定が変更され、JLPGA関連競技には原則としてプロテスト合格などでJLPGA会員にならなければ、出場できなくなった。毎年600人以上が受験して合格者は最終プロテスト20位タイまでという超難関だ。

また、18年にはレギュラーツアーでリランキング制度を導入。それまで最終ツアー予選会(QT)上位40人程度は年間を通して大半の試合に出場できたが、同年からは開幕戦から試合の結果(ポイント制)でランキングが変動。シーズン途中に2度に渡って選手の出場優先権を見直しており、各々の競争心はより高まった。

若手を奮起させた渋野の全英V 小林会長「目標が高くなった」

その他、4日間競技が大幅に増加し、23年には年間の半数に達した。日常的にこのリズムを経験することで、4日間の海外メジャー大会にも対応しやすくなっている。そして、通常大会もコース設定がタフになり、ピン位置は主に国内ツアー優勝経験のあるベテランプロが決定。選手に高い対応力を求めるようになった。

小林会長を中心に進められた「ツアー強化策」が実を結んでいる形だが、10代からツアーを牽引した宮里藍、横峯さくら、上田桃子らに憧れ、ゴルフを始める少女たちが増加。ジュニアゴルファーのレベルがアップしたことも要因として挙げられている。その象徴が渋野、畑岡奈紗、小祝さくら、勝みなみ、原英莉花らの「黄金世代」(1998年度生まれ)で、小林会長は「渋野さんが(19年の)全英女子オープンで勝ったことが大きい」とも言った。

「あれで、若い選手たちが『私にもできる』と奮起したと思います。あれで、選手たちの目標が高くなりました。現実に6年間で3回も日本人選手がメジャーで勝っているんですから」

言葉通り、19年の全英女子オープンで渋野が優勝。樋口久子の全米女子プロ選手権優勝以来42年ぶりの日本人メジャー制覇だったが、21年全米オープンでは笹生が優勝し、畑岡が2位。笹生は今年の全米オープンにも勝っている。

今回、山下は頂点には届かなかったが、国内ツアーからのスポット参戦で堂々と優勝争いを演じた。この事実についても小林会長は「すごく大きいです」と言い、「本人の努力はもちろんですが、関係する皆さんの協力があったからこそです」と感謝。“強い日本女子”を印象づけている中、笹生、山下の出場権獲得が見込まれるパリ五輪については「誰が選ばれてもメダルを獲ってほしいです。獲れる実力はあると思います」と期待を込めた。

THE ANSWER編集部

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