“バッジョ事件”の犯人は東欧系? 誰の自宅か分かっていなかった? 市長は「地域の平穏を取り戻すために、必要な活動を支援していく」

現地6月20日に元イタリア代表FWロベルト・バッジョが自宅で強盗に襲撃された事件が、イタリアで大きな関心事となっている。国営放送局『Rai』は、「みんなの愛情に感謝したい。幸いなことに数針縫う打撲程度で済んだが、恐怖を感じた。いまはその恐怖を乗り越えるだけだ」という事件後のバッジョのコメントを紹介した。

『Rai』によると、バッジョはイタリア北部のヴィチェンツァ近郊にあるアルタビッラ・ヴィチェンティーナを見下ろす丘の上にある広大な敷地の住宅に約15年間住んでおり、周囲に住宅がない立地だという。

20日夜、バッジョは自宅で妻、義母、2人の息子、家事手伝いとEURO2024のイタリア対スペインをテレビで観戦していた時、複数の強盗犯に襲撃された。バッジョは“本能的”に対峙したものの、銃床で殴られて頭部を負傷。全員が家屋内の一室に40分ほど閉じ込められた。時計や宝石類、現金などを盗んだ強盗犯が立ち去った後、ドアを蹴り破って脱出して警察に通報。負傷したバッジョは病院で治療を受けた。バッジョ以外に怪我人はいなかったという。

伊紙『Gazzetta dello Sport』も6月23日の記事で続報を掲載し、「バッジョは今回の事件を受け、あらゆる人たちの防犯レベルの向上を願っている」と記載。さらに「強盗犯は言葉のイントネーションから東欧系の人物の可能性がある。バロンドールに輝いた際に贈られたゴールデンボールのトロフィーが盗まれなかったことから、家主がバッジョだと知らなかったとも考えられるが、事前に準備された計画的犯行であれば、家主が誰なのかを調べているはずで謎は残る。あの場所に住んでいるのが誰なのか、あの街では誰もが知っているからだ」と伝えた。
地元紙『Il Giornale di Vicenza』は周辺住民に取材。「バッジョさんはイタリア・スポーツ界のレジェンドである前に、非常に礼儀正しい。散歩をしている時に会っても、街の祭りなどで会っても、とてもフレンドリーで親切なんだ。快くサインに応じてくれたり、写真を一緒に撮ってくれる。事件後、すべての住民は彼に寄り添っている」というコメントを掲載している。

アルタビッラ・ヴィチェンティーナのロゼッラ・ザットン市長は、防犯カメラの設置を進め、安全面の強化に力を入れるという。「市民の安全が最優先事項だ。事件解決に取り組む管轄当局と緊密に連携している。地域コミュニティーに平穏を取り戻すために、必要なあらゆる活動を支援していく。行政を代表してバッジョさんの早期回復を祈りたい。一日も早く、あの象徴的な笑顔で平穏な日常生活を取り戻してもらいたい」と声明を発表した。

現在バッジョ一家は、当局の捜査に全面的に協力している。

構成●THE DIGEST編集部

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