小祝さくらは5400万円獲得で生涯7億円突破…“自分へのご褒美”は? 今季旋風起こす黄金世代への想いも

ツアー最高額の優勝賞金5400万円をゲット! 使い道は?(撮影:上山敬太)

<アース・モンダミンカップ 最終日◇24日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6688ヤード・パー72>

ショットが乱れ、思い通りに伸ばせなかった一日。スタート時に6打あった2位との差は、一時は2打まで詰め寄られた。それでも小祝さくらは、終盤、右上4メートルから沈めた14番の初バーディから3つのバーディを奪い、なんとか逃げ切った。

フェアウェイキープ率42.8%(6/14)。この数字が重苦しい最終日の原因にもなった。前日には「何が起こるか分からない。ここはティショットがカギなので、最後まで集中したい」と話していたが、そのティショットが乱れた。「ショットの調子が良くなくて、『ここから長いな』と思っていました。3番のボギーで焦りもあった。そのなかで集中しないといけないと切り替えながらやってました」。最後まで状態が上がりきることはなかったが、最後は2メートルのバーディパットを決めて、笑顔でハイタッチ。長かった“5日間大会”を締めくくった。

途中には、運も背中を押すシーンがあった。17番パー4ではティショットが、あと1ヤードほど違えば右に待ち構える池に落ちるというミスも出た。「ライン的にも『池だろうな』とすぐに思いました。ここはボギーでなんとか耐えるしかないと思いながら歩いていたら、(ライが)平らでラッキーでした」。ここは3パットのボギーとしたが、傷を最小限で食い止めた。ただ、本人が一番の幸運を感じたのは15番。15メートルのバーディパットを決めた時だと振り返る。

これが今年3月の「ヤマハレディースオープン葛城」に続く今季2勝目で、目標に掲げてきた年間複数回優勝も達成した。「そこを達成できたのはうれしい。でも、まだ試合は続くし、メジャーもあるので気を引き締めたい。ショットの修正点を改善しながら頑張りたい」。シーズン当初の目標には、もうひとつ「メジャー制覇」がある。秋のメジャーシーズンを、次のターゲットにする。

夏には初の「AIG女子オープン」(全英女子)にも出場。8月22日から“聖地”セント・アンドリュース・オールドC(スコットランド)で行われる海外メジャーにも挑戦する。その調整のため、前週の国内女子ツアー「CAT Ladies」を欠場する意思も明かした。今週まで日米で223試合連続出場を続けてる“鉄人”ぶりを発揮してきたが、「CATに出てからだと、プロアマもあるし練習ラウンドができない」などの理由でくだした決断。そこに強い覚悟も感じられる。

この1勝で優勝賞金5400万円をゲット。これについては「年間のなかでも(賞金が)大きい大会で優勝できてうれしい」と素直に喜ぶ。自分への“ご褒美”について聞かれると、「欲しいものをちょこちょこ買うタイプ。私服を買いたいな。いろんなコーディネートをしたいです」と26歳らしい答えが返ってくる。

さらに生涯獲得賞金は7億円を突破。26歳70日での達成は、横峯さくら、鈴木愛に続くツアー史上3位の年少記録だ。ただ「知らなかったです。7億円ってイメージが湧かない…あまりお金がいくらあるとか考えないので」と、まるで他人事のようにのほほんと話す。

雨の影響で中断、待機が続き、最終的に予備日の月曜日まで使う異例の大会は最高の結末で終わった。「長く感じましたし、1日1ラウンドできなかったり、逆に1ラウンド以上したり、バタバタでした。月曜日にゴルフの試合をしているのは新鮮で不思議な感じがしました」。月曜日のギャラリー数は「コロナの時を思い出す」というツアー史上最少の362人だったが、印象に残る1勝になったはず。

これでツアー通算11勝目。活躍が続く黄金世代の今季6勝目でもある。同学年の高橋彩華も優勝争いに加わり、世代の強さをまたしても印象づけた。「強い選手がたくさんいます。アマチュアのころから、みんなすごく強かった。みんなで切磋琢磨しながら頑張ろうと思う。アマチュアの時はあまり自分は上手ではなかったし、『ついていかないと』というモチベーションにさせてくれる選手がたくさんいたので、そこがいい」。

国内ツアーのみだと通算11勝は世代最多の勝利数。ここからも、“最強軍団”をけん引するひとりとして、さらに勝利を積み上げていくことだろう。(文・間宮輝憲)

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