【ドキュメント】“氾濫ぎりぎり”迫る危機に求められる防災意識 大雨で福井県内2万8000人に避難指示

梅雨入り直後の県内は、22日から23日にかけて大雨となりました。「梅雨が短い」や「空梅雨ではないか」と思っていた人も、今回の雨で油断は禁物だと感じたのではないでしょうか。県内では、土砂災害や河川の氾濫の危険性も高まり、越前市や大野市で合わせて2万8000人余りに避難指示が出されました。今回の大雨を振り返り、防災意識を再確認したいと思います。

梅雨前線の影響で断続的に雨が降り、22日夕方から24日午前10時までに降った雨の量は、九頭竜で231ミリ、美山で216ミリを観測したのをはじめ福井、勝山、武生、大野、今庄を含めた7地点で6月の観測史上最多を記録しました。

この影響で大野市、勝山市、越前市、南越前町、越前町の5つのエリアには土砂災害警戒情報が発令され、大野市と越前市には避難指示が出されました。また、南越前町では床下浸水の被害が1件確認され、交通の便にも影響が出ました。

23日午後2時ごろには各地で1時間40ミリに迫る激しい雨が降り、SNSでも大雨に関する投稿が相次ぎました。投稿された23日午後5時ごろの越前市内の映像では、住宅横にある側道に川のように水が勢いよく流れています。大野市では、小さな川から水があふれ、道路に押し寄せています。雨水の排水が追い付いていない様子の映像も見られました。

一夜明け、越前市を取材しました。

竹内慶行記者:
「越前市を流れる吉野瀬川では、きのう大雨により氾濫危険水位に達し、流域では一時避難指示が発令されました」

吉野瀬川では23日午後5時の時点で氾濫危険水位に達し、流域となる吉野地区、大虫地区、西地区、神山地区の1万305世帯、約2万4000人に警戒レベル4にあたる避難指示が発令されました。

一夜明け、住民に当時の様子を聞くと「すぐ逃げられるように薬などは準備していた。私のような高齢者は皆、準備していたみたい」「吉野瀬川の水位が道路から見えるくらいまで増えていた。この10年で一番すごかった」などと不安な声が聞かれました。

心配された吉野瀬川の氾濫はなかったものの、一部では道路が冠水する被害がありました。農業用水が完全にオーバーフローし、逆流する様子を撮影していた人もいました。

広範囲に避難指示を出したことについて越前市の担当者は「吉野瀬川は氾濫するギリギリのところだった。早く避難を呼びかけるためにも対象を広げた。」と住民に理解を求めていました。

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