阪神・岡田監督 打撃不振脱出へ“ピーピー禁止令” フリー打撃ファウルで鳴る笛は不調の証し「簡単に考えんと」

 岡山入りする岡田監督(撮影・山口登)

 阪神の岡田彰布監督(66)が24日、不調の打線に内野スタンドへの“ピーピー禁止令”を出した。「ピーピー」とはビジターチームのフリー打撃中、スタンドに飛び込む打球に対して警備員がファンへの注意喚起で鳴らす笛の音。今の阪神打線は逆方向の内野スタンドへの詰まったファウルで鳴ることが多いと指摘。不振脱出へ打撃を再確認する必要性を説いた。

 3月29日の開幕からまもなく3カ月が経過する。2軍調整を経て21日に昇格した大山こそ復調の気配はあるが、打線はまだ本来の姿ではない。岡田監督は長引く不振の一因として、自チームのフリー打撃で気になっていた違和感を明かした。

 「(打ち損じが)多い。打撃投手(が投げる球)で、(打球が)ケージから出えへんのはおかしいよ。しかも、差し込まれてファウルなあ」

 続けて、球場内の「ある音」を指摘した。「ピーピー笛吹いてるけど…」。試合が行われる際、ビジターチームのフリー打撃は開門後に行われる。そのため打球がスタンドに飛び込む際は、警備員がファンに危険を知らせるために笛を鳴らす。岡田監督の言う「ピーピー」とはこの音を指す。

 これが外野席へ飛び込む柵越えの時に鳴ればいいのだが…。指揮官は首をかしげて切り出した。「外野のスタンドのピーピーちゃうぞ。うちの打球は詰まった反対方向の内野のピーピーやで。それも差し込まれた内野の。右(打者)は一塁側のスタンド、左は三塁側のスタンドのピーピーやで。練習の時からそんなに差されとったら試合で打てるわけないやんか」。14日からのソフトバンク3連戦(みずほペイペイ)で、打撃を見つめ直すように選手らに伝えたという。

 比較材料もあった。23日の練習前、テレビで日本ハムの練習中継で万波と郡司のフリー打撃の映像が流れていたという。「ケージから出ない打球はなかったな。みんな前でうまいこと捉えて。(打撃時間は)4分ぐらいかな。あの2人、ファウルチップがネットに当たる打球が1球もなかったな。大したもんや」。日本ハムは交流戦で12球団1位のチーム打率・270を記録。その中心の2人から、正しい打撃フォームの再現性を高める重要性を再確認した。

 これまで「前でさばけ」、「人のバッティングを見ろ」と技術的なヒントを授けてきた。指揮官が言う「ええ打ち方」にたどり着くためには-。練習では試行錯誤した上で、試合ではシンプルに考える必要性を説いた。

 「バッティングなんか一番難しいんやから。だから、簡単に考えんとしゃあないんよ。難しいことを難しく考えると、余計におかしくなってしまうやん。試合になったら、そんな考えて打席になんて立てられへんて」。シンプル・イズ・ベスト。フリー打撃中、内野で無駄な「ピーピー」が響かなくなった時が復調の兆しなのかもしれない。

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