“残業代”より教員の業務負担軽減を…中教審の教員確保策に福井県内から「抜本的解決ならない」 調整額引き上げも現状と乖離

福井県教組の定期大会では、中教審特別部会の提言に「不十分」との声が上がった=6月1日、福井県福井市の県教育センター

 中教審の特別部会が5月、残業時間の大幅削減と処遇改善を並行して進める教員確保策の提言をまとめた。公立校教員の給与に残業代の代わりに上乗せする「教職調整額」の引き上げが盛り込まれたが、「定額働かせ放題」とも批判される現行制度が続く。福井県内の教育現場からは「抜本的な解決につながらない」などの声が上がり、教員の増配置などによる業務軽減を求める意見は根強い。

■現状と乖離

 教職調整額は教員給与特別措置法(給特法)に基づく制度で、現在は月給4%相当が支給されている。1972年の法施行時の平均残業時間だった月8時間分に当たる。今回の提言では調整額を月20時間分に当たる10%以上に引き上げる方針が示されたが、2023年度に過労死ラインとされる月80時間以上の超過勤務をした教職員は福井県内で延べ320人に上る。現状との乖離(かいり)は顕著だ。

 嶺北の小学校に勤務する40代の男性教員は「日中はトイレに行く時間もないこともある」と明かす。「問題行動が懸念される児童がいたり、児童同士のけんかがあったりすると、教室から離れられない」という。児童が下校しても職員会議や次の日の授業準備、教材研究であっという間に時間が過ぎる。「(給与を)増やすから頑張れというのは違うと思う」と訴えた。

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