県警ヘリ機長を書類送検 20年の不時着事故、業務上過失致傷疑い

 臓器移植用の心臓を搬送していた福島県警ヘリコプター「あづま」が2020年2月、郡山市三穂田町の田んぼに不時着し、7人が重軽傷を負った事故で、郡山署が業務上過失致傷の疑いで、機長だった男性警察官を福島地検に書類送検したことが24日、捜査関係者への取材で分かった。書類送検は同日付。

 捜査関係者によると、送検容疑は、操縦時に過失があり、同乗者にけがを負わせた疑い。事故は20年2月1日午前8時10分ごろに発生した。ヘリは移植用の心臓を東大病院に運ぶため会津若松市から福島空港に向かう途中で、乗っていた警察官や医師らが重軽傷を負った。事故の影響により移植は中止となった。

 運輸安全委員会が今年1月に公表した事故調査報告書によると、事故原因は強い下降気流に遭遇したヘリが機体の姿勢を立て直そうとした際に右回転し、メインローター(主回転翼)が機体後部に接触して部品が壊れ、操縦が困難になったためだった。

 報告書では降下中に着陸装置を下げて不時着したことは耐衝撃性の観点から極めて有効で、負傷程度の緩和に役立った点や、操縦が困難な中で民家を避けて不時着したことが適切だったと言及している。

 県警ヘリを巡っては、県警が事故後、約1年3カ月にわたり運用を自粛。操縦士を新たに採用して操縦ライセンスを取得、シミュレーターによる訓練や複数人による運航ルートの安全点検などを徹底し、21年4月30日に再開した。

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