災害ごみ臨時集積所を住民が事前設置 いわきで全国初、今秋運用へ

昨年9月の記録的豪雨で仮置き場ではない場所に持ち込まれた災害廃棄物。今秋からは「臨時集積所」としての運用を目指す

 福島県いわき市は24日、災害発生時に住宅などから出る災害廃棄物を地域住民があらかじめ設置した「臨時集積所」に集約する全国初の取り組みを始めると発表した。昨年9月の記録的豪雨の際に指定した場所以外への投棄が相次いだことを受けた対応。今後は市内656行政区のうち、河川浸水が想定される371行政区で先行して設置し、今秋から運用を始める予定だ。

 臨時集積所は、市の仮置き場とは別に、行政区ごとに区長ら住民同士の話し合いなどで設置場所を決め、市に届け出る。災害時に住民の判断で開設し、分別や地区外からのごみの持ち込みを防ぐ警備などを住民自ら行う。市は廃棄物の収集のほか、設置場所などについての技術的な助言や住民による警備の支援、集積所として使われた土地の復旧を担う。環境省の「災害等廃棄物処理事業費補助金」を受けて実施する。

 昨年の豪雨では発生翌日から、仮置き場以外の場所に廃棄物が持ち込まれたほか、災害とは関係のないごみなども投棄されるなどの問題が起きた。仮置き場の設置は最短でも災害から2日程度要することや、車を失うなどして仮置き場への移動手段を持たない住民が発生することも考慮した。

 内田広之市長は24日の定例記者会見で「地域の実情を把握している地域住民が主体となり、それを市がサポートするのが理想的ではないか(と考えた)。市民へ協力を呼びかけていきたい」と語った。

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