「拳2個分」が正解じゃない!? 最適な手元と体の距離は壁を押して見つけよう

手元と体の距離は壁を押したときの力の入り具合で分かるという

「もう少しハンドダウンにした方がいいよ」「フックグリップの方が力が入るよ」などなど、いろいろとアドバイスをもらってもどこかしっくりこない……そんな経験はないだろうか? 川崎志穂などを教えるティーチングプロの平尾貴幸氏は「人によって力の入る角度や負担の少ない姿勢は違います。100人いれば100通りの打ち方があるのです。パワーコネクティング(※1)ならあなたの力を引き出せるアドレスを見つけられますよ」という。今回は、自分に最適な手元と体の距離の見つけ方を解説する。

平尾:昔から手元と体の距離は「拳2個分」といわれてきました。しかし、プロを見ていれば分かるように、手元と体の距離が近い選手も遠い選手もいます。

川崎:私は「拳2個分」より離してアドレスしています! 近くすると動く前から窮屈な感じがして、クラブの通り道がなくなってしまう気がするんですよね……。

平尾:自分に最適な手元と体の距離を見つける最も簡単な方法は、ヒジの曲げ具合を変えて壁を押してみることです。ヒジをしっかり曲げたとき、ヒジを少しだけ曲げたとき、ヒジを完全に伸ばしたときの3パターンを試してみてください。

川崎:私はヒジを伸ばしたときが一番壁を押せる感覚がありますね。

平尾:ヒジを伸ばして力が入るなら、基本的には手元と体の距離を拳2個分以上離して構えましょう。ヒジをしっかり曲げたときに力が入った人は手元と体を近めに、ヒジを少しだけ曲げて力が入ったなら拳2個分で構えると、最大限の力を引き出せますよ。

より正確に調べるなら、ヒジの曲げ具合を変えて基本姿勢(※2)を取って引っ張ってもらいましょう。このときは、ヒジを完全に曲げる、ヒジを半分くらい曲げる、ヒジをほんの少し曲げるの3パターンで試してください。

川崎:ヒジを完全に曲げたとき、ヒジを半分くらい曲げたときは、引っ張られてすぐに動いてしまいました。でも、少しだけ曲げたときはグッと力が入って耐えられるんですよね。ちょっとの差なのに本当に不思議です。

平尾:やってみたらよく分かるのですが、ヒジの角度を少し変えるだけで、力の入り具合は劇的に変わります。完全に曲げて力が入るなら手元と体の距離を近めに、半分くらい曲げて力が入るなら拳2個分、ヒジをほんの少し曲げて力が入るなら拳2個分以上離して構えてくださいね。

川崎:私はやっぱり手元と体の距離を離した方が力が入るタイプでした! 腕は真下にダランと垂らすというより、少し斜めに構えます。ヒジは少し体から離して、ワキだけは締めるようにしていますよ!

あなたはどちらのタイプでしたか? ぜひ試してみてくださいね!

■川崎志穂
かわさき・しほ/1996年生まれ、千葉県出身。2017年にプロ入り。身長170センチの長身から放たれる260ヤード越えのロングドライブが武器。ミツウロコグループ所属。

■平尾貴幸
ひらお・たかゆき/1979年生まれ。日本大学ゴルフ部出身で25歳からレッスン活動をスタート。川崎志穂を17歳から指導し、新垣比菜などのコーチも務めた。PGAティーチングプロA級取得。

(※1)
野球、バスケットボール、格闘技などあらゆるスポーツで話題になっている新しい運動理論。力が入りやすく、体が動きやすい姿勢は一人一人違っていることを前提として、一人一人にあったポジションを提唱する。
 
(※2)
両ヒジを90度くらいに曲げて体に付け、腰を少し落とすのがパワーコネクティングの基本姿勢。この姿勢で引っ張ってもらい、力が入るかどうかをチェックする。

◇ ◇ ◇

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