通算4度の〝ノーヒッター〟誇るソフトバンク甲斐拓也 大記録を逃した一戦でも発揮した正捕手の存在感

7回、有原(右)に声をかける甲斐(撮影・早浪章弘)

◆オリックス2―7ソフトバンク(25日、京セラドーム大阪)
大記録達成まで、あとアウト8個だった。7回。有原が1死から太田に右前打を許し、自身初となる無安打無得点試合を逃したわけだが、こちらも快挙達成を逃した。マスクをかぶった甲斐だ。

実はこれまでに3度、甲斐は捕手として無安打無得点試合に携わってきた。初めは2019年9月6日のロッテ戦。受けた投手は同い年で、育成選手として同期入団した盟友の千賀だった。

そこから22年に東浜、23年に石川と立て続けに大記録達成をサポートした。21年には参考記録ながら、6投手の継投による無安打無得点試合(試合は0―0の引き分け)にも携わっている。それを合わせると、実に4度も無安打無得点試合の捕手を務めたことになる。

過去を振り返ると、捕手としてレギュラーシーズンで4度も無安打無得点試合を経験したのは佐竹一雄(太陽、国鉄)、和田博美(西鉄)の2人だけだ。今回、仮に有原が大記録を達成していれば甲斐は通算で4度目となり、参考記録も合わせると5度目で歴代トップに立つところだった。

それだけに「惜しいことをしたな」と思ったのだが、当の本人は「安打を打たれたことよりも、チーム、有原をどう勝たせるかしか考えてなかったし、実際に勝ってよかった」と振り返った。これぞ正捕手だ。直後の8回にはダメ押しの2点適時打も放った。攻守に存在を示す一戦だった。(石田泰隆)

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