家屋の公費解体開始 氷見・北大町

公費解体で震災のがれきを運び出す解体業者=氷見市北大町

  ●25年度末までの完了目指す

 能登半島地震で大きな被害が出た氷見市中心部の北大町で25日、倒壊家屋などの公費解体が始まった。市内では今後、公費解体が本格化し、市は来年度末までの完了を目指す。

 解体工事が始まったのは、県道薮田下田子線沿いにある倒壊した店舗や家屋など4棟。建物は歩道にせり出した状態で、安全面で緊急性が高いと判断し、近隣の被災建物の所有者からも同意が得られたことから工事に着手した。

 現場周辺では午前9時すぎから県道の一車線を約30メートルにわたり通行規制し、解体業者の作業員ら14人が建物の状況を確認した。倒壊した建物と被災住宅の間にできた幅約2メートルの隙間に重機を入れるスペースを確保するため、倒れた外壁やトタン板を撤去した。

 隣の被災家屋では解体に向けて家屋内の生活用品を運び出した。解体業者の担当者は家人からたんすや仏壇を残してほしいと言われているとし「色んな思い出のある品があるので、丁寧に扱いたい」と話した。

 解体業者によると、現場の地盤の状況が分からないため、現時点で解体撤去のめどは立てられないという。近所の70代女性は「ほっぽっといても駄目だが、(家人は)どんな気持ちか。町内の人も少なくなり、寂しい」と話した。

 市によると、公費解体の対象となる半壊以上や大被害と判定された建物は14日時点で1045件で、うち公費解体の申請は24日現在319件となっている。

 市は3月末から倒壊の恐れがあるなど市民生活に影響のある6棟を優先して解体している。

 市は公費解体の申請期限を来年3月末までに延長しており、市内の公費解体は計855棟を見込む。

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