阪神“魔の火曜日”に差した光 大黒柱・才木8回1失点8Kでセ奪三振王に浮上 岡田監督「よう投げたよな」

 4回、加藤匠を空振り三振に仕留めてほえる才木(撮影・立川洋一郎)

 「阪神0-1中日」(25日、倉敷マスカットスタジアム)

 初めて任された火曜日のマウンドで存在感を示した。阪神・才木浩人投手(25)が8回を6安打1失点に抑える力投も、打線が振るわず今季10度目の完封負けを喫し、自身の連勝は8でストップした。チームとして苦戦が続いている週頭の火曜日で見せた意地の122球。次戦こそ、負の流れを断ち切る。

 曜日が変わっても、地方球場のマウンドでも、才木は才木だった。でも勝てなかった。八回2死からの暗転。「勝負にいった結果。あそこを打たれたのは悔しいかなって感じですね」。4月7日以来の黒星となり、自身8連勝でストップ。久しぶりに負けたが、122球の熱投が改めて力を示した。

 最大のピンチは四回。安打と2四球で2死満塁とした。ここで加藤匠との対決。際どい判定もあってフルカウントまでもつれたが、最後は152キロの直球で空振り三振に仕留めた。「ああいうピンチで三振に斬って取れるというのはすごいいいと思う」。雄たけびを上げて、感情爆発のガッツポーズ。窮地を脱した。

 球数が100球を超えても、七回には打席へ。八回も続投した。簡単に2死としたが、田中に三塁打を献上。そして、板山に先制の右前適時打を許した。「自分の実力不足。ああいうところをゼロでしのげるようにやっていきたい」。8回6安打1失点。言い訳はしなかった。

 ここまではサンデー才木として、日曜日の登板で8勝1敗。リーグ戦再開後も23日のDeNA戦(甲子園)に先発予定だったが、雨天中止でローテ再編となった。6連戦のカード頭となる火曜日の先発は自身初。岡田監督は「よう投げたよな」と評価し、今後の起用についても「そら、そういうことやん」とMr・Tuesdayの継続を明言した。

 1年に1度の倉敷での試合。3万417人が詰めかけた。SNSには「岡山が地元なんで、やっと見に行けます」とメッセージが届いた。ありがたかった。「こういう機会でもっと野球を好きになってもらいたい。本当は勝ちたかったけど、いい投球を見せられたんじゃないかな」。岡山の虎党にも忘れられない日になったはずだ。

 今季初のナイター登板に、起床後は「寝坊したと思った」と笑った。多少の調整のズレも感じたが、次週には修正できるだろう。「涼しいんで投げやすい」と頼もしい発言もあった。この日の8奪三振で79奪三振となり巨人の戸郷を抜いて、単独トップ浮上。チームだけでなく、セ界をも引っ張っている。一歩ずつ、着実に虎のエース道を駆け上がっていく。

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