がれき撤去2、3カ月後か いわき駅前火災から1カ月

焼け焦げた建物やがれきが残る現場=25日午後、いわき市平字田町

 福島県いわき市平字田町の繁華街で発生し、全焼5棟を含む計13棟で被害が出た火災から26日で1カ月となった。現場ではいまだ焼け焦げたがれきが残る。建物ごとに被害状況が違ったり、一部の所有者と連絡が取れていなかったりして撤去には至っていない。ただ、にぎわい復活にはがれきの撤去が欠かせないことから、市は撤去工事を始めるよう働きかけを強め、経済関係団体は撤去費の支援策を模索している。

 「民間の方々の協力を得ながら、早くても2、3カ月後にがれきの撤去を始められるように進めたい」。内田広之市長は25日、官民合同対策チームの会議後、早期のがれき撤去に向け、建物所有者の合意形成を急ぐ考えを示した。

 バリケードが設置されるなど復旧の動きは少しずつ進んでいるが、現場にあるがれきが被害の大きさを物語る。市消防本部によると、被害を受けたのは44テナントで、当初の公表より七つ増えた。火災で被害を受けた建物は民間で所有しているため、公費で撤去できない。そのため、市は合意形成を促す仲介役を担う考えだ。

 復旧を急ぐ裏には危機感がある。JRいわき駅前にある繁華街での復旧の遅れは、地域経済の停滞に直結する可能性が大きい。内田市長は対策チームの会議で「田町ににぎわいがないと、いわきの経済活動に大きな影響が出てくる。今後、駅前での夏のイベントに影響が出ないよう(建物所有者の)合意形成を進めていきたい」と語った。

 会議ではこのほか、いわき商工会議所や、県中小企業家同友会いわき支部などが、がれき撤去費に充てるため、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを実施する方針を確認した。

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